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■■■ 「古事記」解釈 [2023.6.6] ■■■
[710] 述部1st言語族としての矜持
ⓈⓋⓞ
ⓈⓞⓋ現代日本語の雑炊性は特筆モノ。例えば、こんな文章が通用しているようなものだからだ。・・・
   マ-は ホン-を readリード-す
日本語を母国語にしている人なら、低級な冗談話とされてしまうが、それはこの文章を読めるからこそ、そう感じるのである。非母国語の人から見れば、度を越した滅茶苦茶さであり、言語の態を為していないとしか思えない筈。

「古事記」を眺めていると、こんなヘンテコ文章に驚かされることがなくなる。それこそ、現代の様なグローバル化が進めば大いにありえると言えそう。それは、「古事記」成立以前から、倭人が大切にしてきた姿勢が反映されているだけと思えてくるからだ。

そういう点で、小生から見ると、印象深いのは、文構造の自由度の高さ。実際のところ、≪SVО≫だろうが、≪SОV≫だろうが、おかまいなしの表記ができそうだし、≪S≫が見えずらくてもなんら気にかけていない。

そんな姿勢と対照的なのが、≪ギリシア・中原≫に端を発する、アルファベット表記の子音系言語である英・仏・伊・西・葡と、漢字羅列読みたる孤立語系の漢〜タイ〜ベトナムの≪SVО≫タイプ。今や、それが世界標準的に映るが、よくよく眺めて見れば、帝国化に当たってのご都合主義的な文構造として生まれた文法のようにも思えてくる。
孤立語と言うか、漢字表記で話語を統制してしまうというトンデモ路線を考え出し、強権的に推進すれば、表現上どうしても類似文字が増え、同音異義語だらけになってしまう。峻別のために細かな発音が必要となるし、それでも不足するから、声調で差異を出すことで区別するしかなくなる。・・・どうあろうと、人民が作り上げて来た話語とは言い難いところがかなりあり、天子-官僚による規定で言語が強引に変遷させられてきたことは間違いない。当然ながら、王朝毎に発音は違って来るから、厄介極まるが、それはそれで結構なことでもある。文字主導言語化されてしまったので、互いに通じ難い方言乱立状態と定義するだけのことだからだ。ここにこそ異民族支配吸収の漢語族帝国の本質が詰め込まれていると言うこともできよう。(日本列島はそれを嫌う様々な高級難民の鍋[オジャ]的社会だったのだろう。)

「古事記」成立は8世紀初頭で、残存する古漢籍が使われていた時代と比較ならぬほど新しいが、驚くことに、収録言語は漢籍を遥かに超えるとんでもなき古い言語パターンをそのママ引きずって来ている様に見える。新旧なんでもゴチャなので、同音異義語はいくらでもあるし、漢語語彙の翻訳倭語も探せば次々と見つかるような状況。儒教型官僚統制国から見れば無節操極まる統治国家に映ること必定。
このことは、両者は、根本的に異なる文明の路線を引き継いでいると見るのが自然だろう。

考えてみれば、話語でなく、漢字羅列文章の読み言語化の社会を作り上げたのだから、文章構造ありき言語に成らざるをえず、≪SVО≫になるのは必然ともいえよう。
これに対する≪SОV≫という見方は、少々、歪んでいる気がしてくる。文型自由なら、間違いを防ぐにはS⇒Vでさえあればあとはどうでもよい筈で、文書統治が必要な帝国化を目指せば≪SVО≫になりがちというに過ぎないとも言えそうだから。(おそらく、ピジン-クレオールはこの文型になる。)この様な機械的な構造分類の意味は、その意味をじっくる考える必要がありそう。・・・
≪SОV≫
   シュメール・アッカド・ヒッタイト
   印度 古代ギリシア 独-蘭
   テュルク〜モンゴル〜ツングース〜朝鮮
   ドラヴィダ(タミル) チベット〜ビルマ 日本
≪SVО≫
   漢〜タイ〜ベトナム
   英・仏・伊・西・葡
    【SVО型言語に見られる特例SОV用法】
      漢@助詞"把"
      アルバ二ア@詞
      ロマンス@目的語が代名詞

≪VSО≫
   アラビア ヘブライ
   ゲール・ウェールズ・ブルトン
   オーストロネシア系(タガログ・タヒチ)
≪VОS≫
   マダガスカル・ニコバル フィジー
≪ОVS≫
   フィンランド ハンガリー ルーマニア

それに、≪SОV≫言語については、もう少しよく見る必要がありそうだ。・・・
 【基本自由語順/non-純SОV】
   ラテン
   ハンガリー
   サンスクリット[叙事聖典語]
   タミル
   テュルク
 【部分的厳格SОV】
   独-蘭@従属節
 【曖昧SОV】
   日本

倭語〜現代日本語で考えると、≪S≫の表記ルールがはっきりと見えてこないが、文章尻の述語配置にはこだわりが強いことだけははっきりしている。重要なのは、その手の視点ではなかろうか。・・・
 【head-final-SОV】
   テュルク
   タミル
   日本
ココに、非≪ギリシア・印度・中原≫たる、インダス発祥の文明の特徴である、話語への拘りに基づく"述部ありき語"族の系譜を感じることができるか否かはひとえにセンスの問題であるが。

--- 参考 ---
📖構造言語文法は不適 📖てにをは文法は太安万侶理論か 📖倭語最初の文法が見てとれる📖日本語文法書としての意義

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