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■■■ 「古事記」解釈 [2023.7.30] ■■■
[760] 太安万侶:「漢倭辞典」属格助詞
現代日本語を習うと、主語格を示す助詞は<は>で、<が>も同様と叩き込まれる。一方、所属格代表は<の>。("これは[が]私の鉛筆です。"から学び始めることになる。)
用語は別として、この用法は最初に覚えさせられることから見て、日本語の核をなす文法と見なされていると見てよかろう。

ところが、その後、これに当て嵌まらない用例(このためか、格助詞でなく、連体修飾/体言代用と文法用語を変えたりするようだ。)に次々と遭遇することになるが、一般人としては、余計なことを追求しないに限るとして、捨象し、その存在を忘れてしまうのが普通。
小生は、それで十分と考えるクチだが、古文文法修得が大学受験に係るのでこの混乱は表面化せざるを得ない。(結局のところ、この箇所は、現代と古代の違いが余りに大きくだけでなく、どうしてそんなことが発生したのかの理由も何が何やらなので、丸暗記するしかない。)

>は、そんな気分もあって取り上げたが、そうなると、その周辺を知らん顔して通り過ぎる訳にもいくまい。
<は><が>を主格の格助詞代表としているが、同列に扱えるものではなさそうとの主旨だが、さらに付け加えておくなら、<−>でもよい訳だし、<の>にも同様な用法が見られたりする。とても一筋縄ではいかない。

さて、その<の>は、格助詞とも言い難いほど色々な使い方がされているが、フツーの感覚だと属格の格助詞である。しかし、逆から見れば、4種類の言い回しが存在しており、どう峻別されているのかは五里霧中。・・・
<の> の 上 の 痣瘤たんこぶ
 📖[安万侶文法]助詞<の>は乃でもよいのか 📖乃をノと読む場合は音とみなすべし
<つ>_ 綿神 比登都麻都(一つ松)
     八十禍津日神 湯津石村(斎つ磐群)
 📖津の意味は多義化していそう
<な>_ _ "奴那登母母由良爾"(瓊な音ももゆらに)
 📖[安万侶文法]奈ではなく那
<が>_身 浅茅_原  (後世当て字@地名:が⇒ヶ e.g. 関ヶ原)

「古事記」の~名・地名の読み方をとっても、どの様なルールで助詞を付けているのかさっぱりわからない。わざわざ、文字表記している理由さえ、誰も思い付かないのだろうから処置なし。("の"を補って読む場合と、そうでない時の違いも、理屈が無い以上確定しがたかろう。歌でないから、拍数に拘る必然性も薄そうだし。)・・・
   _167
   1571
   _362(349)
天[津]〜の~
天_照_大御神
葛城[之]一言主[之]大神
飽咋[之]宇斯[能]~
墨江[之]三前の大神
建御雷[之]男の神
天の〜の~
天[之]〜の~
國[之]〜の~
道反[之]大神
黄泉[津]大神/黄泉つ神
御食[津]大神
菟_神
風木[津]別[之]忍男の神
底[津]綿[津]見の神
和豆良比[能]宇斯[能]神
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淤能碁呂_島
淡_島
大倭豊秋津_島
淡道[之]穂[之]狭別の島
伊予[之]二名の島
筑紫の島
津_島
隠伎[之]三子_島
伊岐の島
佐度の島
小豆_島
伊賦夜_坂
足柄[之]坂
金鉏の岡(≒丘)
阿波岐_原
呉_原
宇陀[之]血_原
楯/蓼_津
相_津
訶夫羅_前(≒埼)
訶和羅の前
御津の前
狭井/佐韋_河
鵜_河
血沼の海
居寤の清水
男の水門(≒戸)
東之淡の水門
和那美[之]水門
近つ飛鳥
遠つ飛鳥
(この他、〜瀬/本/辺・場/所/処/於も該当しよう。)


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