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■■■ 上野動物園大人向きコース ■■■
2015.2.16

頭角蹄類を眺めてから上野動物園へ

せっかく上野動物園に行くなら、入園直前に訪れておいた方がよい場所がある。それは国立科学博物館。正門まで歩いて数分の距離だし。

行くところは新館(地球館)の3階だけ。エレベーターを使ってさっさと行くこと。児童・生徒の教育の場でもあるから、朝一番(9時開館)でお目当てのところだけさっと見て、すぐにおいとまが無難。(現在620円。老人無料。)
ココは、楕円形の展示場に所狭しといった様子で剥製が並んでおり壮観。そこを、周囲から眺める形。
主にハワイの方の寄贈品らしいが、これ以上素晴らしいコレクションには滅多にお目にかかれないのでは。(欧米の実情は知らないから、間違いかも知れぬ。)ハンティング嗜好が強いのが難点ではあるが、それはそれ、人類史的にはかえって面白い。(そのような意向での展示ではないからお間違えなきよう。)
ともかく、出色もの。

さて、ココで何をしたいかというと、これらの上質な剥製を見て、一瞬にして「種」の違いを感じ取ることができるかという"お試し"。

ヒトは、猿や鳥と同様に、第一義的には目の判別能力で生き延びてきた動物。本来は、これが大の得意だった筈。それが、はたして現代人にもできるだろうか。
つまり、分析的に、なんじゃらこうじゃら考えず、直観を研ぎ澄まそうとの意図。上首尾に行く保証は全く無い。

ついでに、背景をご理解いただくためのゴタクを並べると、こういうこと。・・・
分析とは、まずは丸暗記から。その上に、毛の生えた程度の思考を加えるだけ。引き出しの数とその内容量が多いと知識人とされ、そこから必要な知識を素早く引き出せると頭が良いとされる。創造性が高いか否かとは別次元。
知識を早く引き出すためには、どう整理するかが鍵を握るが、この方法も実は丸暗記可能である。ただ、目的別に違ってくるので、どう覚えるかは処世術とも関係するので一筋縄ではいかない。
エリート大学の優秀な学生とは、ココの能力が高いだけ。しかし、いかにそれが飛びぬけていようと所詮はドングリの背比べ。
にもかかわらず、日本の場合は、未だに分析能力の磨き込みスタイルの高騰教育が続いている。なんと、創造性が重要な戦略策定の中心が、分析スキル学習や説明訓練となっているのだから凄すぎ。こうして育てた"最高の"エリートに創造性を期待するらしいから、大笑いである。
と言っても、実は、批判しても、どうなる問題でもないのが実情。
一時代前なら、それこそが最重要だったのは確かだし、業界や学会で地位を築くべく頑張ってきた専門家を教える側として登用すれば、結果的にそんな教育しかできない訳だから。

まあ、博物館にしても、教え込み型展示である。もちろん、児童・生徒の教育機関でもあるから、質が担保されているなら、それは決して悪いことではない。最初は、知識や分析の方法論をある程度頭に叩き込まないと、創造性発揮へとは進めないないからだ。る施設としては、それを重視せざるを得ない訳で。

長々と余計な話をしてしまったが、剥製のオンパレードを眺め、何をしたいのか語るとしよう。

ご想像がつくかと思うが、分析的思考から離れて考えてみたらどうかと。そのような機会はそうそう無いから。
もっとも、それは簡単なことではない。いかに難しいかは、すぐにわかる。

さて、話を元に戻そう。地球館3階のご説明。

当然ながら、お仕着せの見方が提供されている。しかし、それは一切無視しよう。
先ずは、頭の下拵えということで馴染みのある動物拝見から。分類表示は"2B"。
この展示番号表示を気にする必要はない。エレベーターを降りて入ったすぐのところというにすぎないからだ。以後は反時計回りに進めばよい。
展示品名称表示板があるから、記載されている名前の動物を一瞥するだけのこと。

最初はイノシシで試そう。それ以外の動物とすぐに区別できる筈。その概念の違いは何なのか。
続いて、日本の猪とアフリカの猪はどう違うか見ると面白かろう。大きさの差しか感じ取れないとしたら鈍感と反省すべし。
 Wild BOAR[猪]
 Giant Foewst HOG[森猪]
 BUSHPIG[川猪]
 WARTHOG[疣猪]
尚、動物園で言えば、上野には、アカカワイノシシの陸君(西園小獣館手前ケージ)、クビワペッカリーの3姉妹(東園プレーリードッグ運動場の残り)、家畜豚[チャイニーズポットベリー]のユキとハル(子供動物園)、が住んでいる。仲が悪くなった2頭のニホンイノシシがいるのは多摩。井の頭ではミニチュアブタ君が飼育開始された。
   「陸君に会いに行く」[2014.10.19]

こういってはナンだが、日本のイノシシはちっとも可愛くない。小生なら、家畜にしない。つまらぬ感想だが、その手の感覚が研ぎ澄まされてくると、分析思考から離脱できる可能性が高まる。
例えば、熱帯では体躯は小振りだが、緯度が高くなると体躯が大きくなる法則があり、これをナントカの理論と呼ぶという解説を思いだすのは良くない。
そんなものは、ある条件が満たされたとう前提のお話。その条件とは何で、覆される場合が有りえないかと考え始めて、始めて分析思考から次の段階に進むことができるのである。
優秀な研究者とは、意図せずに、そんな発想が時々生まれるもの。ほとんどが無駄に終わる訳だが、なかに光るものがあり、それに気付くと画期的。

余計なことをお話したが、対象としたいのは、分類学上の「鯨偶蹄類」から、鯨、駱駝、猪、麒麟、等を除いた動物。そして豆鹿も除きたい。つまり、麝香鹿/鹿、ブロングホーン、牛系(山羊/羊、アンテロープ、等を含む。)である
  「山羊さん巡り」[2013.4.23]
小生は、「頭双角蹄類」としたいところ。キリンは擬似該当で、マメジカは非該当となる。
しかし、この角とは何なんだろうか。

もちろん、「頭双角蹄類」は猪展示の一角にも並んでいる。しかも、滅多にお目にかかれない類が。
 LECHWE
 ARGALI
 ORYX
  「シロオリックス」[2013.4.10]
 CHAMOIS
 BLACKBUCK
 American BIGHORN
 IBEX
もっとも、繁殖して群れらしくなった白オリックスと、今やついに一頭になってしまった岩登りのシャモアは多摩にいるが。

これを踏まえて、お隣の展示へ。
ここは、圧巻の一語に尽きる。
 MUSKOX[麝香牛]
 Sika DEER[日本鹿]
 WAPITI
 Rusa DEER
 MIISE[箆鹿/ヘラジカ]
 CARIBOU[馴鹿/トナカイ]
 Chinse Water DEER[牙/キバノロ]・・・なんと有牙
 Roe DEER[鹿/ノロジカ]

その次は、パンダ、白熊(北極熊)/茶色熊(樋熊/羆)、犀、虎、等のお馴染み動物が並ぶが、ここでも頭双角蹄類が目立つ。
 Sable ANTELOPE
 Greater KUDU
 BANTENG
 Giant ELAND・・・羚羊
 African BUFFALO
 common ELAND

ここからは、素人には、なにがなにやらさっぱりわからなくなる。これほど沢山集まると、頭が働かなくなることがよくわかる。
逆に、それだからこそ、自分の分類観が始めて見えてくることになる。小生の場合、枝分かれ角、細身スラリ角、細身曲がり角、太角といった見方のようだ。そんな風に分けて一体どういう意味付けをしているのか考えてみるのも悪くない。実は、単なる暗記だったりして。
 HARTEBEEST
 KOB
 IMPALA
 white-tailed DEER
 PRONGHORN・・・角は枝分かれ。
     (鹿の様には落ちない。構造も牛的。)
 mule DEER
 BUSHBUCK
 SPRINGBOK
 Thomson's GAZELLE
さらに、続く。
 Grant's GAZELLE
 BONGO
 BONTEBOK
 red forest DUIKER
 KLIPSPRINGER
 GERENUK
 grey RHEBOK
 GRYSBOK
 PUKU
 STEENBOK
 yellow-backed DUIKER
 Kirk's DIK-DIK
 lesser KUDU
 roan ANTELOPE
 NYALA
 mountain NYALA
 black WILDBEEST

まだまだ。
 American BISON
 European BISON
 四不像麋鹿/Pere Dabid's DEER・・・鹿である。
  「シフゾウ」[2013.3.23]
 Nile LECHWE
 White-Bellied DUIKER
 Blue DUIKER
最後は、マレーバク、雪豹と並んでいる連中。なんだ、又、同じような動物と見るか、どこか大きな差を感じることができるかは、人によって違うだろう。
 Defassa WATERBUCK
 LECHWE
 TOPI
 Southern REEDBUCK
 Bohoe REEDBUCK
 SITATUNGA
 Asian Water BUFFALO[アジア水牛]
  「スイギュウ」[2013.4.21]

・・・書籍的な知識から言えば、豆鹿のような祖先から、これだけ分かれて多様性を発揮できたことになる。それを、剥製を見ただけで、実感として味わえる人は幸運と言わざるを得まい。角の多様性にどんな意味があるのかわっぱり理解できないからである。
尚、上野にはジャワマメジカが東園「夜の森」にいる。多分、祖先の形質を保っている種なのだろう。見たところ、ピョンピョン動くだけで、兎とカンガルーの合いの子のような印象しかない。どういう訳か知らぬが、角が無いのに鹿とくる。キバノロのように歯が伸びて牙になるそうだが、暗い場所なので定かではない。

ともあれ、これだけ多くの剥製に勢揃いされると、動物園展示の寂しさに感じ入ることになる。・・・
上野の場合、正門から入ると、五重塔側に入ると、運動場があり、ナギとQが同居している。日本鹿は、呼ぶと来てくれる場合があるが、羚羊は気が向いていれば関心を示すこともあるが、上の方で見えないように休んでいること多し。こちらが関心を示すと、拒絶の態度を占めしたり。
あとは、西園の奥で、縞馬と同居するバーバリーシープ。
子供動物園には、家畜牛と家畜山羊、家畜羊。東西を繋ぐ橋の東園崖にはトカラ山羊の種付役を担ってきたご隠居所がある。声をかけると、振り向いてくれる時もある。

ということで、長くなりすぎたので、この辺りで。

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