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■■■ 日本の基底文化を考える [2018.9.28] ■■■
鳥崇拝時代のノスタルジー[79]
−迦毛大御神[飛鳥に不在]−

4つの神奈備、残るは1つ。
 ○大物主⇒大三輪 [→]
 ○阿遅須伎高孫根命⇒葛木(葛城) [→]
 ○事代主命⇒雲梯(橿原) [→]
 ○賀夜奈流美命⇒飛鳥(明日香)

【4】明日香
すでに、この地のことは採り上げたが、加夜奈留美命が「古事記」に登場しないので、よくわからない。[→"飛鳥"の由来] [→飛鳥補遺]

但し、その名前は吉備津宮の創建話に登場するそうだ。(社伝によれば吉備津彦命より五代目の加夜臣奈留美命が、吉備の中山の麓の茅葦宮という斎殿の跡に社を建立し、祖神である吉備津彦命を祀り、相殿に八柱の神を祀ったのが吉備津正宮の始まりであるという。)
明日香の地に入るには、吉備の加夜臣奈留美命の力が必要だったということか。

飛鳥川一帯では、以下のように並んでおり、加夜臣奈留美命が御祭神の神社は存在してはいるものの、どういう訳か社殿は移設されたようだから、場所的にはなんとも言い難し。文字の読みからすれば、栢(榧,檜,類)=加夜との印象を与える。日向や春日山の榧はよく知られているから、飛鳥に象徴的存在の巨大な古木があったが立枯れてしまい、以後、加夜を語ることが嫌がられたか。
加夜奈留美命神社/葛神社@明日香 栢森
飛鳥坐神社@n.a.⇒[奉遷]明日香 飛鳥 神奈備 鳥形山
⛩飛鳥神社@明日香 真神ヶ原⇒[奉遷(元興寺)]平城京左京四条
天の香具山@明日香 栢森・・・伽耶式土器出土
 小墾田寺
 雷丘
 豊浦寺
 甘樫丘
 飛鳥寺
 飛鳥宮
 川原寺
 橘寺 ミハ山@祝戸
 嶋宮
 石舞台

【付】
「萬葉集」を見れば、"神奈備"の地は珍しくはなかったと言ってよさそう。ただ、歌に登場するのは、皆知った地であり、そこには詠み手のなんらかのメッセージも籠められているということだろう。
すでに採り上げた例で言えば、呼子鳥とか霍公鳥が鳴いると心に沁みる気分ぞする、となる訳だ。
奈良盆地から難破へ向かう際の神奈備の森"石瀬=磐瀬@龍田"は紅葉に限らず、良く知られていたようである。
鏡女王の歌一首[巻八#1419]
神奈備の 石瀬の杜の 呼子鳥 いたくな鳴きそ 吾が恋まさる
志貴皇子の御歌一首[巻八#1466]
神奈備の 石瀬の杜の 霍公鳥 毛無の岡に いつか来鳴かむ
龍田神社([風神]志那都比古神+志那都比売神)@立野
廣瀬神社([水神])@奈良盆地河川の合流点
卍龍田神社/寺(法隆寺鎮守) @斑鳩
(石瀬=磐瀬の地)
 ・磐瀬杜碑@龍田神社南方(生駒川→平群川→)大和川北岸
 ・竜田大橋南付近


(Wikisource 万葉集 鹿持雅澄訓訂 1891年)
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