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■■■ ジャータカを知る [2019.6.15] ■■■
[97] 乾闥婆
ガンダルヴァGandhabba/乾闥婆とは香氣を意味する言葉らしいが、天上の宮殿で伎楽を奏する男神集団とされている。(4乾闥婆王:樂乾・樂音・美乾・美音@鳩摩羅什[訳]:「妙法蓮華經」巻一)

常識的には、樹木の幹・樹液・花から空中に発散される香気の精霊であり、瞑想中の修行者の気を散らす元凶とされた筈。しかし苦行者から見れば邪魔かも知れぬが、香しき自然の象徴でもあり、妙なる音楽と解釈されてもおかしくはなかろう。おそらく、樹木の精霊とも言えそうな夜叉の仲間的存在だし、女性をなびかせる神でもあろうから、不埒な神と見なされるおそれはあろうが。

ジャータカでは、{#545]比豆梨賢者譚で賢者の心臓を欲しがるナーガ王妃の話のなかの詩に、他の王と並んで、禁欲のガンダルヴァ王の名前が引かれている。香気しか食べない"清浄"さの極限で生活していると見なされていそう。

この奏楽集団に合わせて踊る女神はアプサラAccharā/飛天。ガンダルヴァの配偶神と見てよかろう。
若くて美しく優雅そのもので、魅惑的な女性の例えにピッタリな神らしく、王妃の美しさを褒める際に使われている。[#327, 537]

「リグ・ベーダ」では攪拌乳海で誕生するから、海の精とか水の精とされるが、大海あるいは大河川や、その源流を意味する訳ではないと思う。おそらく種は多く、渓谷や林の精も含まれていると思う日本人的な思考からすれば、庭園、果樹園、野原等で花を咲かせるために空中で踊り狂っている精霊と考えると、当たらずも遠からずでは。

----- 参考 -----
@鳩摩羅什[訳]:「妙法蓮華経」《序品第一》
【天衆】
  ・自在天子。大自在天子。与其眷属三万天子倶。娑婆世界主。…シヴァ
  ・梵天王。尸棄大梵。光明大梵等。与其眷属万二千天子倶。…梵天
 :
【乾闥婆衆】
    有四
乾闥婆王
  ・楽乾闥婆王
  ・楽音乾闥婆王
  ・美乾闥婆王
  ・美音乾闥婆王
    各与若干百千眷属倶。


@鳩摩羅什[訳]:「妙法蓮華経」《譬諭品第三》
爾時四部衆。
比丘。比丘尼。優婆塞。優婆夷。
天。
龍。  [→]
夜叉。  [→]

乾闥婆

阿修羅。  [→]
迦楼羅。  [→]
緊那羅。  [→]
羅伽 等。大衆。
見舎利弗。於仏前。受阿耨多羅三藐三菩提記。心大歓喜。踊躍無量。
各各脱身。所著上衣。以供養仏。
釈提桓因。梵天王等。無数天子。
亦以天妙衣。天曼陀羅華。摩訶曼陀羅華等。供養於仏。
所散天衣。住虚空中。而自廻転。
諸天伎楽。百千万種。於虚空中。
一事倶作。雨衆天華。而作是言。
仏昔於波羅ョ。初転法輪。
今乃復転。無上最大法輪。


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