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■■■ 「古事記」解釈 [2021.7.7] ■■■
[187/83a] 和爾・沙魚・鮫・鰐の補遺
🐊🦈ワニについて取り上げたが、情報を記載していなかったので、ご参考迄。
  📖鰐トーテム時代の追憶

--- 稻羽之素菟の類似モチーフ ---
   「古事記」稻羽之素菟と和爾
   「稲葉国風土記(逸文)」兎とワニ…おそらく「因幡國風土記」ではない。
   「ジャータカ」猿と鰐 📖
   「今昔物語集」猿と亀@天竺 [巻五#25] 龜為猿被謀語 📖
     鰐登場譚@本朝あり
     [巻二十三#23] 相撲人私市宗平投上鰐語 📖
     [巻三十一#36] 近江国鯉与鰐戦語 📖
   (マレー民話)小鼷鹿と鰐
   (東チモール民話)少年と大鰐
   (米国原住民&アフリカ系移民の民話)ブレア・ラビットとアリゲーター

--- 鰐婚姻譚 ---
   「古事記」豊玉毘売命(海神 綿津見大神の娘)
      本の国の形で出産(姿八尋和邇・匍匐委蛇)
   「肥前国風土記」
      海神 鰐魚が多くの小魚を従え川を遡上し世田姫のもとへ通う。
   「出雲國風土記」意宇郡
      語臣猪麻呂の女子が和爾に偶々邂逅。
      食べられたが猪麻呂が海神に祈って復讐を果たす。
   「出雲國風土記」仁多郡恋山
      和爾が玉日女命を慕って川を遡上。

--- 「出雲國風土記」記載の海産物 ---
《嶋根郡 栗江埼@美保関森山相向夜見島 促戸渡 二百一十六歩 埼之西 入海堺也【凡南入海所在雑物】
  入鹿いるか(海豚)
  和爾わに(鱶[大型鮫]ワニザメ)
  鯔なよし(ボラ)
  須受枳すずき(鱸)
  近志呂このしろ(鯯)
  慎仁ちに(黒鯛チヌ)
  白魚しろを
  海鼠
  鰝鰕えび(海老)
  海松みる等之類
 至多 不可盡名
 北大海  埼之東 大海堺也
《嶋根郡(末尾)》【凡北海所捕雑物】
  志毘しび
  鮐ふぐ
  沙魚さめ(鮫)
  烏賊いか
  蜛蝫たこ
  鮑魚あはび
  螺さざえ(栄螺)
  蛤貝うむぎ[字或作蚌菜]
  蕀甲蠃うに(雲丹)[字或作石經子]
  甲蠃かせ(ウニ類)
  蓼螺子にがにし[字或作螺子]
  蠣蠣子かき
  石華せ(亀の手)[字或作蠣犬脚也 或蟥犬脚者]
  白貝おふ(馬鹿貝類)
  海藻にぎめ
  海松みる
  紫菜むらさきのり
  凝海菜こるもは(心太)等之類
 至繁 不可盡称也

【小生の見立て】
これは、浅知恵で騙した報いといった、「ジャータカ」系の説話とは全く無縁と見る。そのような道徳観を云々するような書ではないからだ。
従って、これは、"鰐⇒菟⇒大國主~"という覇権の流れの話と見なす。・・・

<鰐>九州南部の熊襲は南島の海神の系譜に繋がる海幸彦の一族である。鰐トーテムの母系である。猛々しいことを誇りとする海人。
<菟>菟は九州国東半島つけ根にある豊国宇沙/宇佐(一騰宮)の当て字の菟狭を指す。[宇沙都比古+宇沙都比賣](この地の宇佐神宮の八幡神は朝廷の尊崇対象となったが、「古事記」成立後のこととはいえ、その前身があった筈。・・・720年の隼人の乱で、八幡神は隼人殺害に絶大な力を発揮したらしい。そのよな神の前身は一体どうなっているのか全くわからずである。「古事記」では、全く触れられていない。)
<大國主~>そして、大國主~ 娶坐胸形奧津宮~多紀理毘賣命。

九州では、熊襲国⇒豊国⇒筑紫国と覇権が移動したということになろう。
青銅器の矛をレガリアにした日本海連合が樹立され、今迄力を持っていた豊国が没落したということだろう。

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