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■■■ 「古事記」解釈 [2023.5.25] ■■■
[700] 「古事記」仮名 訓ノ野字 奴野能
ぬのno[n]行の、<に>📖(選別字)と<ね>📖(非万葉字)を見たので、<ぬ>と<の>を。

(又:奴の旁)(〃) [萬] @呉音
      📖奴=野について
奴  用例…奴那登母母由良尓:ぬなとももゆらに
沼  用例…沼名木之入日売命つぎにぬなきのいりびめのみこと
不  ⇒(ザ) ジ ズ な (に) ぬ ね (ふ&ブ)

㊿②(丿:乃の初画)(〃) [萬]…能【乙】 @呉音
助詞<の>は≪乃≫≪能≫≪之≫。
📖現代"の"文法との繋がり 📖助詞<の>は乃でもよいのか
  陸奥[巻三#396 巻七#1329]
  美知乃久[巻十四#3427/3437]
  美知能久[巻十四#3427 巻十八#4094]

㊿③no [萬]…怒【甲】
野  …基本的な<野>用文字として。(埜⇒𡐨⇒㙒⇒野)
     e.g. 江野財臣:えののたからのおみ
   [呉漢音]ヤ [訓]の [吳語]hhia [客家語]yâ
怒  用例…阿佐士怒波良:あさじのはら 多遅比怒:たぢひの 美延斯怒:みよしの
    伊怒比売:いのひめ 都怒郎女:つののいらつめ 都怒山臣:つのやまのおみ 怒能伊呂比売:ののいろひめ 布怒豆怒神:ふのづののかみ
    多怒斯/陀怒斯=楽し
奴   (1例のみ)加良奴袁:枯野を
努   (1例のみ)河内之美努村:"みの"の村
濃   (1例のみ)美濃国
「萬葉集」はどうなっているのかみると酷い。助詞<の>は乙類と思いきや、・・・。
  [巻十八#4047]多流比売野:垂姫の
  [巻十八#4106]須久奈比古奈野:少彦名の

要するに、滅茶苦茶。わざとそうしたとは思えず、それが社会的実情だったことになろう。「古事記」成立時は全くその様なことはなかったと想定するには無理があるから、太安万侶はそれに抗して、できる限り本来の"あるべき姿"と目される表記方法に拘ったに違いない。ただ、その混乱を覆い隠そうとせずに、例外的にあからさまに示しているのが面白い。序文で記載しているように、本来はそうは読めない漢字を勝手に当て字にして世の中に通用させている禮があり、それはママ記載すると書いてあるが、恣意的に混乱を招く表記方法をしたい人は少なくないことを示していることになろう。
これでは、助詞用である乙類ノと甲類noの音上での分別は不要ということになりかねない訳で、実際にそうなって行った訳である。
可美都氣□かみつけの
  ⇒努[巻十四#3404/3405/3407/3415/3416/3417/3418/3420/3423]
  ⇒乃[巻十四#(3405)]
  ⇒野[巻十四#3406]
可美都家□
  ⇒野[巻十四#3434]
賀美都家□
  ⇒野[巻十四#3412]

倭建命崩御の地名"能煩野"はおそらく伊勢湾国見に最適な野登山@亀山の地だろう。

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