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■■■ 「古事記」解釈 [2023.8.2] ■■■
[763] 太安万侶:「漢倭辞典」🚥
"色彩"については色々と書いてきたが、折角だから少し追加しておこう。
  📖「古事記」が伝える色彩記載方法
  📖日本の色彩感覚は全く違っていたのではないか…
ちなみに、小生のセンスだと、五行の色はこう見なしたくなる。・・・
【推定:中国土壌分布】📖日本の色彩感覚の原点(東西南北)
■青・・・沿海河川デルタ青灰色湿泥土
西□白・・・砂漠/乾燥薄灰色土
■朱・・・火山系赤土
■黒・・・針葉樹森林黒土
■黄・・・黄土高地/沖積地
…小生の場合、パール・バック:「大地/The Good Earth」の影響が強い。帝国化で移住は当たり前になっても、人々の古層的心情には本貫地の土母神への信仰が残っていると見てのこと。男系宗祖への絶対尊崇姿勢に隠されているとはいえ。
【推定:倭の古代四方色彩感】📖日本の色彩感覚の原点(明暗顕漠)
□白・・・光=白し=夜明
■青・・・漠=漠し=日中
西■赤・・・顕=明し=夕暮
■黒・・・闇=暗し=影
■アオ・活=生し=青草(葦の芽)
…通説とは解釈が違うのでお間違えなきよう。白は再生を前にした静寂で清らかな状態。一方、青とは、全面的に、倭的な意味での、漠とした様を指し、そこでは様々な生き物が活動している。

「古事記」に於ける<色>は紛れもなくcolorの意味で使われている。現代用法では時に目立つ、艶っぽい系のニュアンスは全く無いと言ってよさそう。もっとも、強引に扉を抉じ開けて入ろうとする夜這いが許されていると云うことで、<"色許"男>に含意があると考えれば別だが。
ともあれ、倭語では、抽象化された色名表現を嫌っていたのだから、かなり前から、漢語的表現に合わせるようにしていたことになろう。

20(15)…
「古事記」仮名としては"シ"。独特の用法である。
「萬葉集」では基本は"いろ" で、仮名"シ"としては使用していないようだから。"令艶色有者/にほはしたるは"との例外はあるものの。僅かだが、音の"シキ"もある。他の表記例には、"−(綵色/まだら)"、"丹之穂尓黄色/丹のほにもみつ"、"黄色時尓/もみたむ時に"。

葦原"色許"男~/葦原色許男大~ 內"色許"男命 內"色許"賣命 伊賀迦"色許"賣命/伊迦賀"色許"賣命/伊迦賀"色許"男命 "印色"之入日子命
又 於宇陀墨坂~ 祭赤色楯矛 又 於大坂~ 祭K色楯矛
又 錦色小蛇 纒繞我頸
其臣服著紅紐青摺衣 故 水潦拂紅紐 青皆變紅色
有變三色之奇虫

上記で、色として認定されているのは、赤色・K色の対偶と錦色。さらに、染色的には紅と青が加わる。

20…
彼目如赤加賀智  此謂赤加賀知者 今酸醤者也
赤猪在此山
於是其妻 取牟久木實與赤土 授其夫 故 咋破其木實 含赤土唾出者 其大~ 以爲咋破吳公唾出
赤海鯽魚  於是 探赤海鯽魚之喉者 有鉤
又 於宇陀墨坂~ 祭赤色楯矛 又 於大坂~ 祭K色楯矛
「以赤土散床前 以"閇蘇"紡麻貫針 刺其衣襴」
故竊以赤檮 作詐刀爲御佩
是女人 自其晝寢時 妊身 生赤玉
於大刀之手上 丹畫著 其試メ 載赤幡 立赤幡
引田部赤猪子 赤比賣郎女

青摺衣に紅紐という衣装は官のいでたちだったのだろうか。
4…
其臣服著紅紐青摺衣 故 水潦拂紅紐 青皆變紅色
葛城山之時 百官人等 悉給著紅紐之青摺衣服

祭祀には、丹摺が用いられていたようだ。
11…
於下枝 取垂白丹寸手 青丹寸手 而 訓垂云志殿
其美人爲大便之時 化丹塗矢
爾 赤猪子之泣淚 悉濕其所服之丹摺袖
於大刀之手上 丹畫著 其試メ 載赤幡 立赤幡
尾張丹羽臣 丹波之河上之摩須郎女 丹波能阿治佐波毘賣 丹波之遠津臣 丹波之竹野別

後世では一般化している赤系の他の色材については触れられていない。
朱 緋 茜 非使用…

赤と黒の対偶記述が目立つ。・・・
黒/K20… 📖日本の色彩感覚の原点(白に黒)
於胸者火雷居 於腹者K雷居
取K御𦆅投棄 乃生蒲子
K田廬戸宮
又 於宇陀墨坂~ 祭
赤色楯矛 又 於大坂~ 祭K色楯矛
肥河之中 作K樔橋 仕奉假宮而坐
押K弟日子王 飯野眞K比賣命 K日賣 境之K日子王 K比賣

K樔橋は南海的肥河水上行宮を意味しているのだろう。鵜の黒を象徴していそう。直後に記載されている檳榔之長穗宮とは、その名称か。

白と青の対偶記述が目立つ。・・・
17…
青人草
其泣狀者 青山如枯山泣枯 河海者悉泣乾
於下枝 取垂
白丹寸手 青丹寸手 而 訓垂云志殿
「吾者 伊都岐奉于倭之青垣東山上」
卽 蹈傾其船 而 天逆手矣 於青柴垣打成 而 隱也
泊青雲之白肩津
餝青葉山 而 立其河下
是於河下 如青葉山者 見山非山
・・・又 宇都志岐青人草習乎 不償其物」
令詛言「如此竹葉青 如此竹葉萎 而 青萎
其臣服著紅紐青摺衣 故 水潦拂紅紐 青皆變紅色
葛城山之時 百官人等 悉給著紅紐之青摺衣服
青沼馬沼押比賣 河內青玉之女 青海郎女

非使用
<紫>は地文では筑紫/竺紫としての用法のみ。
14(14)…
筑紫嶋 筑紫國 竺紫日向之橘小門 竺紫日向之高千穗之久士布流多氣 筑紫 竺紫之岡田宮 筑紫三家連 筑紫訶志比宮 筑紫國之伊斗村 筑紫末羅縣之玉嶋里 筑紫之末多君 竺紫君石井
[序文漢文]御紫宸 而 コ被馬蹄之所極
黄/黃12…
黃泉國 黃泉戸喫 且與黃泉~相論 副千五百之黃泉軍 黃泉"比良"之坂本/黃泉比良坂 黃泉津大~ 黃泉坂之石
卽 取其水門之蒲黃

稲羽之素菟の1例を除けば、すべて黃泉譚。
現代の本草でも[生薬]"蒲黃ホオウ(附)"(:乾燥成熟花粉)が存在。和名は加末乃波奈[深江輔仁:「本草和名」918年]。蒲穂の上部だけが雄花で黄色。その下の長い部分は雌花で、その毛種が蒲団として利用されていたようだ。蒲の穗は大量に採取できるので、本草学流入以前の土着利用技術だった可能性もある。

以下も、一応、目を通しておこう。
顕/顯10…
故 顯白其少名毘古那~
思顯其御名
專所顯申之汝 送奉
・・・故 參向顯白」
大物主大~ 顯於御夢曰
此時其三柱大~之御名者顯也
然 非顯待情不忍於悒
・・・然 顯白己志以參出耳」
彼時所顯也
汝命不顯名者 更非臨天下之君

[序文漢文] 出入幽顯
非使用
28…淡嶋 淡海國
1…美濃國

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