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2003.1.8
 
 


デジタルTVのマイナー商品化は必至…

 2002年12月、米国議会に属する組織GAO(General Accounting Office)が、デジタルTVが一般消費者にどの程度認知されているかの調査結果を公開した。(http://www.gao.gov/new.items/d037.pdf)

 衝撃的内容である。消費者の4割がデジタルTVを知らない。アナログとデジタルの違いがわからないのである。
 これでは、高額なデジタルTVが売れる訳がない。

 FCCは、放送事業者にアナログからデジタルへの転換を要求しているし、TVメーカーに対してもデジタルチーナー搭載(セットトップボックス不要化)を義務付けるべく動き始めた。(http://hraunfoss.fcc.gov/edocs_public/attachmatch/DOC-229725A1.doc)
 しかし、この状況では、普及に協力すれば収益圧迫を招くのは間違いあるまい。法律による強制力なくして、私企業の協力は望み薄といえよう。

 しかも、さらにやっかいな問題がある。デジタルコンテンツのコピー防止要求である。(http://www.cptwg.org/Assets/BPDG/home%20page.htm)
 受信機器にコピー防止装置搭載が必要となれば、TVの価格は下がるどころか、上昇する可能性が高い。ますます、デジタルTV普及が遠ざかる。

 これからの競合相手と思われるブロードバンドインターネット放送技術がこなれてきた時点で、デジタルTV放送は未だに制度がどうなるかわからない状態である。これでは、デジタルTVはマイナーな地位に留まることは確実といえよう。

 状況は、日本国内でも同じである。現在までの売れ行きを見れば、明らかに一部の人々が購入するだけの「高級機」でしかない。
 電波混信問題で地上波放送開始が遅れているが、問題はこれだけではない。都会に難視聴地域が発生するし、マンション内回線が対応できるとは限らない。これらの解決費用をどうするかは、今もってはっきりしない。これでは、アナログ廃止は無理だ。
 アナログが続くなら、デジタル化は一部番組の高精度映像化でしかない。アナログハイビジョン同様の存在となる。

 エレクトロニクスメーカーがデジタルTVを見捨てるべき時期が来たといえよう。

 開発技術者は、今まで投入した膨大な費用を考え、少しでも取り返そうと、小さな所帯でプロジェクトを続けがちだ。気持ちはわかるが、貴重な技術資源を無駄使いすべきでない。デジタル分野には、ビジネスチャンスはいくらでもある。多チャンネル型の現行TV放送関連を除いて、デジタルTV関連の研究開発テーマは全廃し、新しいデジタル家電分野開発に注力すべきである。

   過去記載の
   ・「デジタルTVはどうなるのか…」へ
 (2000.06)
   ・「ワイドTVを普及させる戦略でよいのか…」へ (2000.07)
   ・「デジタル放送受信TV販売好調…」へ (2000.11)
   ・「デジタルTVの危うさ…」へ (2001.07)
   ・「危険を孕むデジタルTV戦略…」へ (2002.07)
   ・「BSデジタルの宣伝手法…」へ (2002.08)


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