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■ 分類の考え方 2017.7.29 ■


乳液植物類

燈台草類は乳液を出すことが一大特徴である。
凡人にとっては、これぞグループの定義。なにせ、燈台草、ポンセチア、初雪草、青珊瑚が一緒なのだから。
  「ト〜ダイ見えず」[2017.7.27]

燈台草の別名は澤漆だし、近縁にも野漆があるから、漆に似ていると見られていた訳である。川縁を歩いていて、草をいじったりするとかぶれてエライ目に合うということで知られていたのだと思われる。
Euphorbia独特つ皮膚刺激性有毒アルカイド(Euphorbin)を含有していると言っても、漆ほどにかぶれることはなさそうだが、えらく厄介である。乳液には粘着性あって簡単に落ちないからだ。下手に手について眼を触ったりしたら目もあてられぬ。
ちなみに、系統樹ではすぐお隣に位置する小蜜柑草類は乳液は出さない。

ということで、"乳液を出す植物"分類も意味がありそうにも思うので、眺めておこう。・・・

まず、すぐに思いつくのが、タンポポ/蒲公英 or 黄花地丁/Dandelion
菊の仲間とされる、大きなグループである。
そのキクだが、虫害防止ということで、3つの流れが生まれたと観るのが、凡人の自然分類:
 ○蕗や蓬のように、
  香気を発散させるのが正統派キク類
 ○傷つけるとベタつく乳液が出るのがタンポポ類
 ○中間派の棘で防衛がアザミ類

たかがタンポポといえど、都会では希少なので、そんなことはできないが、野原が拡がる地域なら、道を歩けば蒲公英にはよく出会う。そこで、つい、花を採ったりするが、茎を折ると途端に乳液が出てくる。粘着性があり付着すると厄介である。
  「蒲公英の話」[2009.3.24]
キクの仲間だからなんらかの抗菌作用があるとも言われているようだが、よくわからない。葉と茎は苦味(ステロイドアルコール成分)が好かれるのか、生食する人達も少なくない。西洋タンポポはもともと野菜として渡来したとも言われているくらいで。小生も食したことはあるが、なんということもない葉っぱという印象しか残っていない。ただ、古代発想からいえば、食せば、乳液を大量に出す霊力を頂戴できるということになるかも。
タンポポの根は深いので、簡単には抜けないのでわからないが、乳液が出るらしい。乳液とは所謂ラテックスでもあるから、ソ連では、クリミアで栽培させて、乳液を生産していたという話もあるようだが、はたして何を狙ったのだろう。軍人にゴム製品を配ろうと考えたのだろうか。(ラテックスという観点では、チューインガムノキ/人心果/Sapodilla@メキシコ原産の"チクル"が有名である。)
毒性はないようだが、小さな虫にしてみれば食べると口が固まってしまう食物ということになるから、虫除け効果は大きいのであろう。

蒲公英という語彙は、僕公罌[芥子]の転訛とされており、[@「日本大百科全書」]乳液が出る点で類似ということのようだ。

そういう点では乳液を出す本家は芥子かも。
阿片は果汁の乳液が原料であることが知られているが、芥子の仲間はたいていは種を傷つけると乳液が出て来る。Euphorbinに負けず劣らずアルカロイドリッチな液体を出す訳である。
そういえば、博落回/竹似草 or 占城菊[チャンバギク]/Plume poppyは、珍しくない植物だが、どうも猛毒らしい。ただ、乳液でもオレンジ色。ケシの類縁とされている。
  「タケニグサの毒」[2016.12.17]

その他、よく知られているものでは、桔梗があげられよう。菊の遠縁である。
茎だけでなく、葉を傷つけても乳液が出て来る。生け花に使う際には、水上げが面倒ではないかと思うが、理由は定かではないが、和の風情を感じさせるのに最適な花ということで愛されているようだから、そう感じる人はいないようだ。

あとは、毒性が強いことで知られる夾竹桃/〃/Oleander。その仲間のガガ芋 or 乳草/蘿/-の類も。
  「鏡カヌーの表象実がなる蔓草」[2015,7,29]

ただ、酵素含有の非粘着性乳液の場合は毒性はないとされている。しかし、蛋白質分解性酵素が入っており、肉食のヒト様には有り難い成分かも知れぬが、虫の食性で考えると七転八倒モノと成る可能性は高かろう。
  「白色乳液を出す聖なる樹木」[2014.9.1]
  「萵苣の話」[2008.1.15]

(参照) 廣野郁夫:「続・樹の散歩道」185"乳液を出す植物たち"www.geocities.jp/kinomemocho/sanpo_latex.html

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