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■■■ 「古事記」解釈 [2021.11.25] ■■■
[328]枕詞「つのさはふ」考
枕詞「こもりくの」について、小生のセンスでその意味を探ってみたが、別に奇をてらっている訳でもなく、漢籍を参考にしていることもなく、単に用字を素直に解釈してみただけのこと。熟考して、智慧を絞って考え出したものではない。
  📖[私説]"こもりくの"泊瀬の意義
  📖[脱線]「万葉集」巻十三の"こもりくの"

要するに、「古事記」を読めば、「こもりく」は直観的に"隠国"だろうとわかるのである。係る対象の地名である「泊瀬」は"長谷"だからこそ意味が通じるとも言えよう。そこは奥まった地であるからこそ、辣腕で武力支配に長けた大・小の命が坐した神々しいイメージが湧くのである。

・・・枕詞については、多少触れてきたが、古語辞典では意味不詳とされていても、「古事記」を素直に読めば意味明瞭と感じてしまうが、そのような感性はこの社会では異端なのであろう。
  📖枕詞「蜻蛉島」考
  📖枕詞「敷島の」考
  📖「古事記」が示唆する枕詞発生過程
さらには、「つのさはふ」についても若干ふれた。
  📖伊波礼の地は失墜したのか

枕詞の数は多いので、簡略解説では以下の言葉の形容用語になっているとだけの記述しかなく、意味不詳とされるのが一般的である。
  敷島の→大和 日本 世
  秋津島・蜻蛉島→大和
  隠りくの→泊瀬
  つのさはふ→石
小生からすれば、上記を漢字で記載すれば一目瞭然。・・・
  師木洲大和国(斎木は欅/槻である。)
  蜻蛉嶋倭國
  隠国長谷

さて、そうなると"「つのさはふ」は?"と言うことに。言うまでもないが、この言葉は「萬葉集」用語であって、「古事記」用語ではない。しかし、意味がわかるような漢字表記がなされているのである。「古事記」の地名を付ければこうなる。・・・
  角障經伊波礼

但し、せっかく意味がわかるような用字にしてあっても、角を常識的に解釈しない話をすることになっているようで、地名から、岩に関係すると意味付ける説もあるといった紹介がなされる。ただ、違和感を感じながらの解説のようで、肯定的ではない。岩・石、石村、石寸、石見、磐余、磐之媛にかかる枕詞だが、その理由は未詳との結論になるようだ。

素人からすれば、歌に詠み込む"角"だから、枝角だろうとなる。つまり雄鹿に毎年生えては落ちる角のこと。よく知られるように、そのデザインと大きさは年齢だけでなく個体毎に大きく異なる。
なんだ、それだけのことではないか。伊波礼の地は、川の流れが"枝角"みたいな地勢だネ、というだけのこと。奈良盆地随一の栄華の地だが、枝分かれした支流だらけで、年中流れが変わる地と言うに過ぎまい。トンボの羽のような田圃が広がる美しい地を褒める心境とは違うものの、始終治水の土木工事をしながらも、活気ある経済活動が行われ、宮もあって、政治文化の中心の華やかさを感じさせる言葉であると見て間違いなかろう。
初代天皇の名称には"伊波礼"という名称が入っているものの、宮も御陵も無関係の地に在る。にもかかわらず、後世の宮はこの地に集まってくるのである。

  [17]伊波禮之若櫻宮(伊邪本和氣命履中天皇)
  [22]伊波禮之甕栗宮 & 忍海高木角刺宮(白髮大倭根子命清寧天皇)
  [26]伊波禮之玉穂宮(袁本杼命継体天皇)
  [30]他田宮(敏達天皇)…一説@他田坐天照御魂神社@桜井太田
  [31]池邊宮(用明天皇)
  [32]倉橋柴垣宮(崇峻天皇)
┼┼┼┼┼┼↓初瀬川
┼┼┼┼┼┼│三輪駅
┼┼┼└┐┼┼┼┼ ←三輪山
┼┼┼┼└┐┼┼┼┼┼┼┼┼↓白川
┼┼┼┼ΛΛΛΛΛΛΛ ←長谷列木宮◆25
┼┼久大桜││┼┼┼┼┼┼┼ ←長谷朝倉宮◆21
┼┼山福└┐井│└┐∴┌─────── ←師木島大宮◆29
─┐駅駅└──────┬┴ ←他田宮◆30
───○───○─────○───────○─
──○────○┘┼┼┌┘大和朝倉駅│┼┼長谷寺駅
┼┼┼┼└─┐┌┘┼┼┼┼┼┼
──────────┘ ←R165
└┐┼┼┼ ←阿部文殊院
┼┼└┐┼┼ ←春日神社=池邊宮◆31
┼┼┼└┐┼┼┼
┼┼┼┼└┐┼┼
┼┼┼┼┼┼ ←伊波禮若櫻宮◆17 伊波禮玉穂宮◆26
┼┼┼┼┼↑米川 ↑寺川
┼┼┼┼┼ ←御厨子神社=伊波禮甕栗宮◆22
┼┼┼┼┼┼ ←香久山
┼┼┼┼┼┼┼└┬──■ ←倉橋池
┼┼┼┼┼┼┼┼ ←金福寺=倉橋柴垣宮◆32

下記の概念図でわかるように、桜井辺りは、奈良盆地の要衝の地である。・・・
┼┼┼┼下道
┼┼──┬─────石上
┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼
┼┼┼┼┼┼┼┼師木上道
当麻←┼─横道───□→海石榴長谷
┼┼┼┼┼┼┼伊波礼
┼┼┼┼←────┘山田道
国見での蜻蛉嶋イメージは別として、師木・長谷・伊波礼が発信するイメージとは倭国のハーランドということだろう。「古事記」はそこらが理解できるように工夫されていることになる。

もう少し細部に拘ると、以下のようになる。(ここらは、山のように情報が提供されているが、中身は僅少で錯綜した状態。あってしかるべき基本情報はさっぱり見つからない。以下はすべて推定。)
   《現行地名》
〜〜〜〜〜大泉├────┤馬場〜〜三輪
〜〜〜〜新屋敷〜〜〜〜松之本
大福東新堂上之庄粟殿金谷
〜〜〜┌───┼────┼───────
西之宮戒重川合桜井
───┴───┼────┴───────
〜〜〜〜吉備阿部〜〜桜井外山
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜河西
〜〜〜〜橋本〜〜〜〜〜〜〜浅古
〜〜〜池之内生田〜〜〜〜〜高田
池尻

○戒重
(戒重)春日神社(他田坐天照御魂神社)⇒[30]他田宮
○吉備
吉備池(江戸期造成溜池)
(吉備)春日神社⇒[31]池邊宮
卍吉備池廃寺⇒百済大寺(大安寺前身)跡
○谷
∴土舞台
石寸山口神社/双槻神社
菰池(溜池)
菰山/磐余山
○阿部
∴文殊院西古墳
卍安部文殊院
 └[旧寺地]安倍山崇敬寺(阿倍倉梯麻呂建立645年)跡@安倍史跡公園
∴艸墓古墳
∴上之宮遺跡@上之宮 寺川西岸
○高田 外山
 《鳥見山古墳群》
∴メスリ山/鉢巻山/東出塚古墳(224m)@高田
∴コロコロ山古墳
∴桜井茶臼山古墳(207m)@外山
宗像神社
○池之内
∴《池之内古墳群》
稚櫻神社⇒[17]伊波礼之若桜宮
○【橿原】東池尻…戒外川/米川
御厨子神社/水尻神社@[橿原]東池尻⇒[22]伊波礼之甕栗宮 [26]伊波礼之玉穂宮

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