表紙 目次 | ■ 分類の考え方 2015.9.26 ■ 藍藻類の分類 「あおこ」大発生についての素人話をしてきたので、そこらの生物分類についてもまとめておくことにした。 → 「飲料水の安全性に対する姿勢について」 (20150829) → 「抜本的なアオコ対策が必要かも」 (20150826) → 「手賀沼の水質改善進捗状況」 (20030111) → 「浄水技術の緊急性」 (20040715) シアノバクテリアといえば、光合成で酸素を大放出した細菌というイメージだが、菌とは何ぞやとなると実にわかりにくい命名だらけ。 → "「菌」類のゴチャゴチャ感の凄さ"[2015.3.9] 一方、これを藍藻と呼ぶと、緑藻、紅藻、褐藻の仲間という印象が強くなる。もともとは、そのような分類だったためか。 → "「藻」だらけなので生物分類は難物"[2015.3.5] → "陸上化時代を彷彿させる植物の分類"[2015.7.6] 細菌[バクテリア]は原核生物(無核膜)だが、藍藻以外の「藻」はすべて真核生物(有核膜)だから呼び方を変えたいと考える人も少なくない筈で、藍藻細菌とでもしたらよさそうに思うのだが。 そうすれば、進化論の深化のしがいもあろうというもの。 藻類と間違えられるのを嫌う人は、「シアノバクテリア」と呼んだりするようだ。シアノバクテリアが27億年前の化石「ストロマトライト」形成という話が知られているし、オーストラリアの現生「ストロマトライト」も世界遺産だから、それで統一しようとの意向もわからないでもない。しかし、バクテリアとは細菌と同類なのか、違うのか、素人にははなはだわかりにくい。 進化論的表現を目指すなら「原葉緑体細菌」がベストではなかろうか。 こんな話をするのは、日本語のサイトを眺めたにすぎないが、「藍藻」領域の全体像がえらくわかり難いからでもある。もっとも、本質的にそういう生物かも知れぬが。 はっきりしているのは、酸素欠乏環境下で酸素発生型光合成を行う無鞭毛単細胞というだけ。しかし、単細胞とは言うものの、「藻」と名付けただけのことはあり、群体を形成することが多い。粘着成分を分泌するのであろう。ところが、それだけに留まらない。糸状細菌の場合、多細胞生物の如く、窒素固定に特化した細胞分化が発生することがあるという。 それに加えて、鞭毛は無いが、線毛を持つ種が見つかっているそうだ。当然ながら、移動可能なのである。しかも、紙状群生種のなかには、全体で滑走運動を行ったとの報告もあるという。 驚くことに、「ストロマトライト」だけでなく、全球凍結の生き残りを想わせる「雪氷藻類」も存在するというのだ。その一方で、温泉棲息種も知られているとくる。 単細胞で単純に見えるが、その多様性はただならないものがある。 比較的知られている藍藻を整理するとこんなところか。 <糸状群体>【揺藻類】 一様な糸状体 ●スピルリナ @熱帯アルカリ性湖 <粘着群体>【念珠藻類】 球状細胞が互いに付着した数珠形(一部に特異細胞) ●アナベナ 青粉的繁殖 赤浮草[水棲シダ類]と共生 ●葦附/葛天米 or 天仙菜 清冽水流棲木耳形 雄神川 紅にほふ 娘子らし 葦付[水松之類]取ると 瀬に立たすらし [大伴宿祢家持 礪波郡雄神河邊作歌 万葉集#4021] ●石水母/雨来,髪菜 陸棲木耳形 ●髭藻 淡水棲丸粒 <不規則群体>【クロオコッカス類】 ●水前寺海苔/天仙菜 九州の一部の淡水棲 ●"真正"青粉 浮遊性(緑藻、珪藻、緑虫の場合も青粉と呼ぶ。) これらの藍藻類の位置付けはこんな具合か。一知半解的に描いただけなので、すっきり感は無いが、とりあえず。・・・ │ │↓"g-" └┬光合成緑色非硫黄細菌系[クロロバクテリア] ┼└┬真正細菌の一部 ┼┼└┬藍藻[光合成酸素発生型]→葉緑体 ┼┼┼│┼┌スピロヘータ ┼┼┼│┌┤ ┼┼┼│││┌(FCB)[スフィンゴ脂質含有細胞膜] ┼┼┼││└┤┌(PVC) ┼┼┼││┼└┤ ┼┼┼└┤┼┼└プロテオバクテリア→ミトコンドリア ┼┼┼┼│┌エウリバクテリア ┼┼┼┼└★ ┼┼┼┼┼│↓"g+" ┼┼┼┼┼│┌エンドバクテリア ┼┼┼┼┼└┤┌放線菌類 ┼┼┼┼┼┼└★ ┼┼┼┼┼┼┼│↓"ネオムラ" ┼┼┼┼┼┼┼│┌古細菌 ┼┼┼┼┼┼┼└☆ ┼┼┼┼┼┼┼┼└真核細胞 なんと言っても、どう解釈すべきかわからないのが、植物細胞内に存在する葉緑体の前身が、藍藻の一種から生まれたとの見立て。それなら、かなり原始的な種ということになるのだと思われるから、素人は藍藻の基本は海水棲と考えてしまう。ところが、実際は、淡水系を例外とみなせるような状態ではない。どういうことなのだろうか。 (参考) アオコをつくる藍藻 藍藻の分類 国立科学博物館植物研究部 (C) 2015 RandDManagement.com |