表紙 目次 | ■■■■■ 2017.7.25 ■■■■■ "穀類"一瞥 翁(芭蕉) 俳諧之連歌@1688年7月20日名古屋竹葉軒[長虹興行] 雑穀米人気は衰えていないようで、五穀米(R)、十穀米、十六穀米だけでなく、さらに多種のものまであるようだ。 (加工プロセス名称品を除けば、種類としてはこんなところか。・・・ 黒米/紫米・赤米・緑米・玄米・香米,大麦・小麦 黍,粟,稗,高粱,鳩麦,四石稗,コーン 蕎麦・韃靼蕎麦,アマランサス,キヌア 黄大豆・黒豆,小豆, 黒胡麻・白胡麻・金胡麻,荏胡麻) この手のご飯を嫌う人は少なくないと思うが、常食している人がかなり大勢いるようで、立派なものである。 (米とは違う、水分含有量が少なくて硬い種類を混入することになるので、米飯の食感とは全く変わってしまう。豆を混入すると、どうしてもその香りがするから、それが気にいらないと敬遠することになるし、混ぜご飯同様に米飯の炊き立ての香りが感じられなくなるのを残念がる人もいそう。 好みもさることながら、種を食べるのであるから、事前に乾煎りしないなら、十分に水を浸透させ完璧な加熱処理をする必要があり、特性が異なる様々なものを混ぜるとその担保が厄介である。おそらく、その面倒さを低減させる工夫が施された商品が多いのだろう。) 「万葉集」では稲に関する歌はいくらでもあるが、他の穀物に触れることは少ない。しかし、他にも4種[麦(3096)稗(2476,2999)粟(404,405,3451,3364)黍(3834)]が登場しており、雑穀は、古代から、上流階級にも親しみを感じさせる穀類だったのは間違いあるまい。 と言うより、稲は不作の可能性もあり貯蔵しにくいが、雑穀は安定した収穫が期待できる上に穂をママで保管できるから、必須栽培品だったかも。米が豊作なら、剰余扱いになるから、早速、黍団子や粟餅、雑穀酒として楽しんでいたのではなかろうか。 一方、日本がお手本にしていた中華帝国であるが、《粟米之法》という穀類換算の仕方があり、それに主要な穀類が並んでいる。・・・ [「九章算術」卷第二 粟米[劉徽:"註釈本"@263年] <籾のママの"あわ"> 粟 率 五十 <精白した"あわ"> 糲米 三十 粺米 二十七 鑿米 二十四 御米 二十一 <碾いた"小麦"(麬分別前)> 小䵂 十三半 大䵂 五十四 <炊飯品> 糲飯 七十五 粺飯 五十四 鑿飯 四十八 御飯 四十二 <大豆> 菽 <小豆> 荅 <麻の実> 麻 <大麦> 麥 各四十五 <籾のママの"米"> 稻 六十 <味噌的"豆鼓"> 豉 六十三 <糖化糊状豆> 飧[=餔] 九十 <煮大豆> 熟菽 一百三半 <発芽豆/麹用> 櫱 一百七十五 と言うことで、豆系を除き、穀類をザッと眺めてみた。 ┌禾系 →「米と禾と粢」[2014年4月16日] →「禾類」[2016.1.17] │┼ <主穀> │┼大麦/Barley@三日月 │┼小麦/Wheat@三日月 │┼稲/Rice@長江中流 │┼┼有色米/Black(Red,Green) kerneled rice, 香米 │┼トウモロコシ or 唐黍/玉蜀黍/Maize or Corn@中米 │┼ <冷涼地代替穀> │┼燕麦(烏麦栽培種)/Oat │┼ライ麦/裸麦 or 黒麦/Rye │┼ <雲南〜西蔵発祥雑穀> │┼鳩麦(数珠玉栽培種)/Job's tears │┼ <ユーラシア東端発祥雑穀> │┼稗/ひえ/Barnyard millet │┼┼→「稗の話」[2008.9.2] │┼ <中央アジア発祥雑穀> │┼粟 or 小米/あわ/Foxtail millet │┼黍/きび/common Millet or Proso millet │┼ <アフリカ発祥雑穀> │┼唐人稗/Pearl Millet@西アフリカ サヘル │┼高粱 or 高黍/たかきび or もろこし/Sorghum@中央アフリカ⇒ユーラシア │┼四石稗/穇子/しこくびえ/Finger millet@アビシニア高原⇒ユーラシア │┼┼→「四石稗の話」[2013.12.12] │┼ブラキアリア/弯臂粟/Signalgrass@西アフリカ │┼フォニオ/直長馬唐/White fonio millet@西アフリカ │┼ブラックフォニオ/Black fonio millet@西アフリカ │┼テフ/Teff@アビシニア高原 │┼ <インド発祥雑穀> │┼雀子稗/すずめのこびえ/Kodo millet │┼-/細柄黍/Little millet@ベンガル │┼-/湖南稗子/Indian barnyard millet │┼毛肉黍 or コルネ/多枝臂形草/Browntop millet │┼-/馬唐/Hairy crabgrass │┼-/十字馬唐/Raishan@アッサム │┼ <北米発祥雑穀> │┼-/柳枝稷/Switchgrass │┼ <南米発祥雑穀> │┼-/Mango brome │ │┼┼┼┼┌・・・ │┼┼┼┼│ 【薔薇類・桃類】 │┼┼┼┼│ 【茱萸類】 │┼┼┼┼│ 【楡類】 │┼┼┼┼│ 【桑類・刺草類】 │┼┼┼┼│ 【麻類】 │┼┼┼┼│ <擬穀> │┼┼┼┼│ 大麻/タイマ or あさ/Hemp │┼┼┼┼│ 亜麻/アマ/Flax │┼┼┼┼│ 苧麻/チョマ/China grass or Ramie │┼┼┼┼│ 黄麻/コウマ/White jute │┼┼┼┌┤ │┼┼┼││┌瓜系 │┼┼┼│└┤ │┼┼┼│┼└橅系 │┼┼┌┤ │┼┼│└─豆系 │┼┼│┼ <菽 or 豆> │┼┌┤ │┼││┌─油菜系 │┼│└┤ │┼│┼└─葵系 │┼│┼┼伊知比桐麻 or 莔麻/ボウマ/Piemarker or Chinese jute │┼│┼┼ケナフ(洋麻)/Kenaf or Decan Hemp │┼│┼┼綿/Cotton plant │┌┤ ││└──葡萄系 └┤ ┼│┼┌─蓼系 ┼│┼│ <擬穀> ┼│┼│ 蕎麦/そば/Buckwheat ┼│┼│┼┼ →「蕎麦の話」[2008.8.26] ┼│┌┤ ┼││└─撫子系 →「莧の話][2014.4.5] ┼││┼【葉鶏頭/雁来紅/Joseph's coat類】+【藜/あかざ/Fat hen類】 ┼││┼┼<南米&ヒマラヤ擬穀> ┼││┼ アマランサス/米莧 or 莧菜/Grain amaranthus@インカ ┼││┼ =莧/ひゆ/Chinese spinach類の紐鶏頭 ┼││┼ 仙人穀/老鎗穀@ヒマラヤ ┼││┼ キノア/藜麥/Quinoa@アンデス, ヒマラヤ ┼││┼ (法蓮草) ┼││┼【蔓紫類】 ┼││┼【撫子・カーネーション類】 ┼││┼【山牛蒡類】 ┼││┼【白粉花・ブーゲンビリア類】 ┼││┼【サボテン類】 ┼└┤ ┼┼│┼┌竜胆系・茜系 ┼┼│┼│((長実)母丁子 or 琉球青木/九節木 or 山大刀/(Psychotria)) ┼┼│┌┤ ┼┼││└紫蘇系・茄子系 ┼┼││┼ <油穀> ┼┼││┼胡麻/芝麻/Sesame ┼┼││┼荏胡麻/白紫蘇/Perilla ┼┼││┼┼ →「荏胡麻の話」[2008.2.26] ┼┼││┼(紫蘇) ┼┼└┤ ┼┼┼└─芹系・菊系 (参考) 大川俊隆:「秦漢における穀物換算率について」大阪産業大学論集 人文科学編 116 2005年 「食」の目次へ>>> トップ頁へ>>> (C) 2017 RandDManagement.com HOME INDEX |