→INDEX ■■■ 「古事記」解釈 [2023.7.24] ■■■ [754] 太安万侶:「漢倭辞典」生僻字 画数が多いと必然的に"生僻字"化してしまうとは言い難いものの、たいして使いそうもなければ消え去るのは自然な流れだろう。(例えば、山"佐知毘古"は<毛麤物>を取っていた訳で、それが当時の現実だろうが、林の文字あれば森は不要のようだし、虫にわざわざ蟲を使う必然性もなく、さらには犇驫䲜の類を使いたくなるとは思えまい。) ただ、こればかりは文化的な問題であり、なんとも言い難しである。例えば、栞 雫 潟は現代漢語からはすでに失せているそうだ。 そんなことが気にかかるのは、太安万侶は、随分と難しそうな漢字を避けようともせずに、平然と多用しているからだ。時代が違いすぎるとは言え、現代ブラウザの常用フォントに対応していない㊕文字📖(本サイトはShift-JIS。対応しない場合、〓/・/□/?/�表示になる。現在、5種[SJIS EUC JIS U8TF U8B]併存だが、それ以前の生コードも使われている。)だけでもかなりの数。 さらに、1用例に限られる文字を眺めてみると、現代では頻繁に使用されないと認定された語彙がズラリ。そのなかには、結構知られている文字や、常用文字の単なる異字体も含まれてはいるものの、見た瞬間に、コレ何だ?と感じさせる文字が大半。日本国では科挙を導入しなかったから、膨大な量の漢字丸暗記を避けた筈なのに、「古事記」読者の文字知識量はかなりの水準にあると見てよさそう。カリキュラム完備でもなかろうに、どの様にして漢字を習得したのか大いに気になるところ。 倭語は話語としてはかなり容易に習得できる言語と思うが、"読み"も"意味"も複数持つ日本漢字が絡んで来た途端、熟達には多大な労苦を必要とすることは明らかだからだ。・・・ --Language Difficulty Ranking (for English Speakers)--@FSI+α 24w:ラテン系(仏伊西) 蘭 スウェーデン ノルウェー 30w:独 36w:インドネシア-マレー 44w:希/スラブ ペルシア/インド域/ビルマ トルコ/中央アジア域/チベット + [流入語多大]モンゴル タイ ベトナム 88w:アラビア 漢 朝鮮 + 日本(表記文字の複数読みと多義性では頭抜けている。) 要するに、語彙と発音・意味に一意性がないので、覚えるのには、行きつ戻りつを繰り返すことになるので、膨大な時間がかかるということ。 視覚判定(読む)・聴覚判定(聞く)…受動的行為 ⇧⇩ input 語彙推定⇔文法認識 ⇧⇩ output 発音(喋る)・筆記(書く)…能動的行為 このことは、我々が受けて来た教育カリキュラムは根本的に間違っている可能性が高いということでもある。何回も繰り返して文字を書かせることで頭に叩き込む方法が行われるが言語習得の観点では意味が薄いと見なすしかないからだ。もっとも、このやり方は漢語世界なら通用する。文字を、単なる絵として認識させるのだから、それなりの威力はあろう。そんな効果が期待できるのは、一意性があるので、音の記号として記憶に残すにはそう悪くない方法だからだ。 一方、倭語〜日本語は、一意性を欠く。このため、いくら書いて記号を頭に入れたところで、せいぜいが、当該文字の書き方に習熟する以上ではない。語彙情報を学ぶべき最初期の貴重な時間を、その観点ではほとんど無駄な労苦で費やさせているだけと考えた方がよかろう。 倭語〜日本語での"書く"練習とは、文を構成する論理を学ぶ段階になって初めて意義が生まれると見るべきと思う。 多義多音の文字を覚えるのだから、書くことより、文字構成を学んで、"読み"の能力を効率よく磨くこと以外になかろう。繰り返すが。一音一意性が貫徹される漢語とは180度異なるのである。 多音多意に要領よく対応するには、おそらく、2字熟語を重点的に覚えることと、<意符+音符>( おそらく、「古事記」読者コミュニティの漢字習得方法はコレであろう。漢語漢字と日本語漢字は、このコミュニティが生まれたことで、表向きは似ていても、路線は180度異なる方向へと進んだと考えるのが自然だ。(例えば、 そんな目で、1用例文字のなかから、現代日本語で余り使われないとされている、常用フォント文字を整理してみた。・・・ ≪女≫ 媚1…遣天菩比~者 乃 媚附大國主~📖♀ ≪木≫ 梳1…梳垂其結御髮📖㊍ 梭1…於梭衝陰上而死📖㊍ ≪歹≫ 殯1…坐殯宮𣦸薨 ≪氵/水≫ 沐1…共沐肥河📖海 泝1…泝於堀江📖海 湟1…三嶋湟咋📖海 瀾1…故其御船之波瀾📖海 ≪火≫ 炙1…"美蕃登"見炙而病臥在 炳1…望見難波宮 其火猶炳 爛1…悉常血爛也 R1…火之R毘古~ ≪口≫ 1…當摩之灯 啼1…啼伊佐知伎也 嘲1…此者嘲咲者也 ≪艸≫ 茹1…切伏大樹 茹矢打立其木 蓴1…以海蓴之柄作燧杵而 蓼1…號其地謂楯津 於今者云日下之蓼津也 蘿1…身一有八頭八尾 亦 其身生蘿及檜榲 ≪訁≫ 謗1…後人必誹謗 讒1…讒大日下王曰 ≪糹≫ 縻1…末押縻魚簀 繞1…纒繞我頸📖絲 纔1…然遂纔得相易📖絲 ≪髟≫ 髣1…髣髴出入即失 鬘1…取K御鬘投棄 ≪魚≫ 鮹1…靜貝王 亦名貝鮹王📖🐟 ≪鳥≫ 鵝1…內剥鵝皮剥爲衣服鳥旁漢字を眺めて ≪鹵≫ 鹵1…既等天皇之鹵簿 ≪𧾷≫ 趺1…趺坐其劒前 跪1…跪于庭中時 ≪車≫ 輾1…輾轉其上者 汝身如本膚必差 ≪舟≫ 艘1…貢進御調八十一艘📖船 ≪辶≫ 逾1…天照大御~逾思奇 ≪𥫗≫ 筌1…作筌有取魚人 ≪門≫ 閾1…坐其殿戸之閾上 ≪虍≫≪皿≫ 盧1…意富牟盧夜爾 ≪弓≫ 弭1…弭弓藏兵 ≪心/忄/⺗≫ 忤1…愁天下氏氏名名人等之氏姓忤過 [序文漢文]惜舊辭之誤忤 ≪示≫ 祟1…斗摩邇邇占相而求何~之心 爾 祟出雲大~之御心 ≪衣/衤≫ 襪1…織縫衣褌及襪沓 ≪耳≫ 聟1…問其聟夫曰 ≪谷≫≪奚≫ 谿1…其長度谿八谷峽八尾 ≪巾≫≪隹≫ 帷1…張絁垣立帷幕 ≪至≫ 臺/台1…天皇坐高臺 臻1…爾 八十~ 覓追臻 [序文漢文]天時未臻 ≪立≫ 竭1…雖竭力戰 ≪虫≫ 虱/蝨1…令取其頭之虱 ≪貝≫≪宀≫ 賽1…不賽其功 ≪鹿≫ 麁1…取毛麁物毛柔物 ≪羊≫ 羹/羹1…於是爲煮大御羹 ≪瓜≫ 瓠1…眞木灰納瓠 ≪穴≫ 窘1…皆被迫窘 ≪肉/⺼≫≪攴≫ 脩/修1…都勿脩理 ≪入≫ 兪1…稍兪貧 ≪臼≫≪𡗗≫ 舂1…具餝船檝 舂"佐那"葛之根 ≪廾≫≪士≫ 弉1…伊弉本別王御子 <n.a.> 揩 箏/筝 亟 莚 莪 鍜 陋 鬢 (C) 2023 RandDManagement.com →HOME |