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2007.3.12 |
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テレビ人気は続くのか…
ただ、データを見る限り、2006年のテレビの出荷台数は対前年比で減少。もっとも、額で見れば高額な大型液晶テレビが増えたから5%程度は伸びたが。 思わず、腕時計市場の流れを思い出してしまった。 職人が作っていた腕時計が、薄型自動巻きに変わり大量生産品になり、大市場が生まれるが、成熟してしまう。そこで出てきたのが、電子化。市場は一気に再生。しかし、膨大な数の部品が生産され、とてつもない安価な時計が作られるようになり、市場はすぐに成熟してしまう。そして、様々な新しい仕掛けを繰り広げたが、そこから抜け出せない。 今や、時刻を知るためなら、腕時計に頼る必要はない。商品購入の“嬉しさ”がなくなれば、市場は縮小するのは自然の成り行きだ。お蔭で、売れ筋はマニア向けや服飾品的用途。 AV家電も同じ道を歩み始めたようだ。 アナログオーディオの市場が沈滞したのはずっと昔のことだが、テレビ市場も似てきたからだ。 そう感じるのは、DVD機器の売れ行きが低調だからである。 2006年は対前年度大幅マイナス。まるっきり成熟期後半の雰囲気だ。 それでも、HDD内蔵型は、この2007年1月には、8ヶ月ぶりにプラスになったそうだが。(3)と言っても、その数字は0.8%増と微々たるもの。流れに変化がでているとは思えまい。 米国と違って、日本には、テレビ番組録画大好き人口が多いと言われてきた。もしそうなら、大画面テレビ販売の伸びに合わせ、DVD機器も売れそうなものだ。しかし、そうはならない。つまり、かつてのビデオテープデッキのように、誰でもが欲しがる製品ではなくなったということではないのか。 デジタルテレビ時代のDVD機器はマニア商品になりかねないのである。 もともと、DVDが急速に普及したのは、家電業界の力ではない。2000年に発売された、“プレイステーション2”がDVDプレーヤー機能を搭載したお蔭である。これにより、パソコンも、DVDプレーヤー機能搭載は当たり前になってしまった。 知的所有権を無視したビジネスが市場を荒らしたと見る人もいるかもしれないが、徐々にDVD機器を浸透させ、大市場化させようとの目論見が新市場をすぐにも立ち上げようと考える力に押されたと見るべきだろう。 低価格化に拍車をかけたのも、DVD録画機能付きゲーム機“PSX”である。製品の売れ行きが悪かったため、実売価格が下がり、DVD録画機の価格標準を一気に下げてしまったのは間違いない。 こんな状況だから、DVD機器の研究開発投資の回収どころではなかった企業も多かったろう。 従って、家電企業は、デジタル化をきっかけに、今度こそデジタル用DVD機器で大市場を作ろうと考えているだろう。市場を荒らすような製品が出にくい仕組みにして、それこそ粛々と市場を固めていこうと考えているに違いない。 しかし、そんなシナリオが成り立つものだろうか。 米国ではインターネット注文で、自宅のCATV接続機器のハードディスクへ映画をダウンロードできる仕組みが始まった。(4) DVD録画機器がこれほど売れないということは、面倒なことをしてまで録画する気が失せたということかも知れない。 ひょっとすると、テレビ番組離れが始まった可能性さえある。似たような番組を僅か数チャンネルから選ぶような組みに、ついに飽きがきたということではないか。 テレビより面白いものがでてくる時代の幕開けかもしれない。 --- 参照 --- (1) http://www.asahi.com/digital/av/TKY200703060311.html (2) http://www.jeita.or.jp/japanese/stat/shipment/2006/ship_12.htm http://www.jeita.or.jp/japanese/stat/shipment/2005/ship_12.htm (3) http://www.jeita.or.jp/japanese/stat/shipment/2007/comm/comm_01.htm (4) http://www.amazon.com/gp/video/tivo 電波腕時計の時代か(20040628) 、腕時計v.s.ケータイ(20040629) 、元気な伝統腕時計メーカー(20040630) 、 腕産業への挑戦 (20040701) 、腕時計産業への新規参入(20040702) 、腕時計ブランド弱体化への道(20040705) 、 中級腕時計の競争熾烈化(20040706) メディア業界の目次へ>>> トップ頁へ>>> |
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