→INDEX

■■■ 「古事記」解釈 [2021.12.9] ■■■
[342]下巻末23代天皇関連所収歌9首検討
収録歌数は113に達しているが、その最後が23代天皇。
臣と争う歌垣で有名。
   《上巻》@出雲・八尋和邇…7+2首(1〜9) 📖
   《中巻初代天皇段》…13首(10〜22) 📖
   《中巻10代天皇段》…1首(23) 📖
   《中巻倭建命関連》…15首(24〜38)📖
   《中巻15代天皇段》…14首(39〜52)📖
   《下巻16代天皇段》…23首(53〜75)📖
   《下巻17代天皇》…3首(76〜78) 📖
   《下巻軽王・軽大郎》…12首(79〜90) 📖
   《下巻21代天皇段》…14首(91〜104) 📖
   《下巻23代天皇関連》…9首(105〜113)
<播磨の隠遁地で身分を明かした>…1首
<即位前の歌垣で家臣と大喧嘩>…6首
<殺された父の遺骨埋葬地を覚えていた老婆に感謝>…2首

皇統を誰が継ぐかなんとも、という状況で、系譜からの妥当性がありそう播磨に隠されていた兄弟が突如皇嗣として宮に呼び寄せられて即位と言う状況で収載となった歌である。従って、上記のうち、7首は22代天皇段に入っている。
呼び寄せられたといっても、それは実質女帝の宮に、ということでしかなく、即位が確定しているとは言い難いところがあろう。
当然ながら、即位反対勢力も存在していた筈で、それが歌垣で敵愾心をあからさまにした平群臣の租の志毘臣と考えてもよいだろう。取り合った菟田首の娘の名は大魚と、なかなか意味深なところがある。

---㉓袁祁王之石巣別命@近飛鳥宮/顕宗天皇
[105]【即位前天皇】逃亡を止め帰京し皇嗣となる端緒
    立つる赤幡見れ者 五十隠りぬる山の 三尾之竹矣 訶岐刈り 末押縻魚簀 八絃琴調如 天下所治賜 伊邪本和気天皇之御子 市辺之押歯王之奴 末

[106]【志毘臣】@歌垣経緯選んだ女に臣が手を出す
[107] ├【即位前天皇】@歌垣経緯嫌がらせに対抗
[108] ├【志毘臣】@歌垣経緯あからさまな敵対意識
[109] ├【即位前天皇】@歌垣経緯無礼な態度批判
[110] ├【志毘臣】@歌垣経緯さらに強烈な敵愾心表明
[111] └【即位前天皇】@歌垣経緯無礼千万と
    大宮の 遠つ端手 隅傾 けり
    ↓
    大匠 拙みこそ 隅傾けり
    ↓
    大王の 心を宥み 臣の子の 八重の柴垣 入り立たず有り
    ↓
    潮瀬の 波折りを見れば 遊び来る 鮪が端手に 妻立てり見ゆ
    ↓
    大王の 御子の柴垣 八結締まり 閉り廻し 切れむ柴垣 焼けむ柴垣
    ↓
    大魚吉 鮪突く海士よ しが有れば 心恋しけむ 鮪突く志毘

[112]【天皇】大恩媼を毎日召していた時
[113] └【天皇】老いた大恩媼の帰郷時に別れを惜しむ
    浅茅原 小谷を過ぎて 百伝ふ 鐸ゆらくも 置目来らしも
    ↓
    置目もよ 淡海の置目 明日よりは 御山隠りて 見えずかもあらむ

歌垣冒頭だけは、五七五七七の和歌形式でなく、五六七で掛け合いを行う決まりがあるのかも。
  5(おほみやの) 6(をとつはたて) 7(すみかたぶけり)
  5(おほたくみ) 6(をぢなみこそ) 7(すみかたぶけり)
  5(おほきみの) 7(こころをゆらみ)5(おみのこの)
     7(やへのしばかき) 7(いりたたずあり)
  4(しほせの_) 7(なをりをみれば) 5(あそびくる)
     7(しびがはたてに) 7(つまたてりみゆ)
  5(おほきみの) 7(みこのしばかき) 5(やふじまり)
     7(しまりもとほし) 7(きれむしばかき) 7(やけむしばかき)
  5(おふをよし) 7(しびつくあまよ) 5(しがあれば)
     7(うらこほしけむ) 7(しびつくしび)


 (C) 2021 RandDManagement.com  →HOME