→INDEX ■■■ 今昔物語集の由来 [2020.9.23] ■■■ [451] 季札老師 登場人物の説明が故意に簡略化されているので、浅学過ぎると、一武将の"信"のなんということなき逸話と思ってしまいかねないが、“南季北孔”で超有名なお方の事績である。・・・季札[前576-前484年:呉王寿夢子]の"延陵季子兮不忘故、脱千金之剣兮帯丘墓。" 流石、国史と銘打った巻のことだけはある。 【震旦部】巻十震旦 付国史(奇異譚[史書・小説])📖「注好選」依存 《16-27 武将・文官》 ●[巻十#16] 養由天現十日時射落九日語📖射日神話 ⇒「注好選」上69養由射日 ●[巻十#17] 李広箭射立似虎巌語📖神弓貫巌 ⇒「注好選」上70李広貫巌 ●[巻十#18] 霍大将軍値死妻被打死語📖霍去病死去 ●[巻十#19] 不信蘇規破鏡与妻遠行語📖感破鏡 ⇒「注好選」上75蘇規破鏡 ●[巻十#20] 直心季札釼懸徐君墓語 ⇒「注好選」上73紀札懸釼 ●[巻十#21] 長安女代夫違枕為敵被殺語📖「孝子伝」 ⇒「孝子伝」東帰節女/京城節女{43---節婦義娘} ⇒「注好選」上67郎女代枕 ●[巻十#22] 宿駅人随遺言金副死人置得徳語📖無面識死者の葬儀請負 ●[巻十#23] 病成人形医師聞其言治病語📖童膏盲に入る ●[巻十#24] 震旦賈誼死後於墓文教子語📖賈誼文章家 ●[巻十#25] 高鳳任笇州刺史迎旧妻語📖高鳳流麦 ⇒「注好選」上32高鳳流麦 ●[巻十#26] 文君興箏値相如成夫妻語📖文君駆落 ●[巻十#27] 震旦三人兄弟売家見荊枯返直返住語📖「孝子伝」 📖兄弟殺意 ⇒「注好選」上97田祖返直 まずは粗筋。 ⇒「注好選」上73紀札懸劔 此武者為丹使。往外国。於途中遭洪水。難進退。即宿猪君家。二日天晴雨止出行時。語猪君云。與吾命共惜所帯劔也。謀叛還必譲此劔。已過退敵地経一年。遂殺賊首。還時猪君死家門荒廃。村邑成野原。即紀札逢故老問。猪君指用教彼墓。墓上生榎丈三尺 解劔掛此木。酬廻謝約以去。 武芸に秀でており、素直な清浄の、季札だが、 国王命で外地へ反乱鎮圧に出征。 その途中、 大雨に出会い、行く手を遮られてしまった。 そこで、徐君の家にしばらく宿泊することに。 そのお礼として、 謀反人を罰して戻ったら 命と同じ位大切にしている帯刀の劒を与える、と言い 出立した。 一年後、思っていた通り、敵を斬首できたので帰還。 劒を与えようと、徐君の家に立寄ったが、 家の門は荒廃しており、野原同然。 どうしたのかと思い、古老に尋ねると 急死していた、 そこで墓の場所を教えてもらい 見ると、墓の上に三尺の榎の木。 帯刀している劒をその木に掛け 約束を謝し、受けた恩に酬いた上で、帰って行った。 なんの説明もつけないで収録した点は秀逸。 以下は史書で、短文だがこんなもので十分。 ⇒司馬遷:「史記」卷三十一1呉太伯世家[2]太伯弟仲雍十七世孫 壽夢(2)壽夢次子 餘祭 季札之初使,北過徐君。 徐君好季札劍,口弗敢言。 季札心知之,為使上國,未獻。 還至徐,徐君已死,於是乃解其寶劍,系之徐君塚樹而去。 從者曰:「徐君已死,尚誰予乎?」 季子曰:「不然。始吾心已許之,豈以死倍吾心哉!」 孔子とのつながりは、通俗的には母が季札に弟子にしてほしいと頼んだとなるが、孔子崇拝のため話が膨らんでいるのでよくわからない。ただ、葬儀関係を取り仕切っていたのは間違いない。それが生業だった可能性が高いからだ。 見方によっては、宗教としての儒教ではなく、道徳の儒教の祖は季札ということかも知れないのである。 ○前551年: 孔子誕生@魯国昌平[山東曲阜尼山] [母]顔徴在…16才[巫女] 3番目の妻 [父]叔梁紇…70才余[鄹邑大夫] …最初の妻 施氏は女子しか出産せず世継ぎ無し。 次妻の子は足が不自由で世継ぎになれず。 "吾少也賤,故多能鄙事" ○前549年: 父逝去 母と曲阜闕里に移住 ○前546年: 母教育 ○前538年: "吾十有五而志於學" ○前536年: 母逝去 父母合葬@防山 : ○前485年: 季札葬@江蘇江陰申港 孔子十字碑文"嗚呼有吴延陵季子之墓" この季札だが、血脈的には吴太伯に連なっており王族である。しかも継承権が認められていた実力者。にもかかわらず、譲位の申し出を断ったことで知られる。中華帝国の宿命ともいえる権力闘争を避けたかったということではないかと思うが、地位を求めない清廉な姿勢を見せたことで尊崇の対象になっている。 季札の頃は、呉の最盛期だろうから、本朝との交流もあったに違いないし、「今昔物語集」編纂者はそこらの事情もご存じだった可能性があろう。 📖魏志倭人伝の読み方[25] 呉越倭 江戸時代の儒学者は"日本始祖,吴太伯之胤也。"@林羅山&鵞峰[編纂]:「本朝通鑑」と主張していたくらいなのだから。 (C) 2020 RandDManagement.com →HOME |