野菜の素人的自然分類 野菜の分類は結構難しいものがある。 文化的にはどのように考えることが多いのか、最近出版された本を眺めてみた。(但し、著者は故人。)・・・ 青葉高: 「日本の野菜文化史事典」 八坂書房 2013年9月25日 これによれば、先ずは、大きく2群に分けるのが"実用的"らしい。確かにわかり易い。 ○果菜類 ○葉菜類と根菜類 どういうことかと言えば、花がついてから野菜になるものと、花などついてしまうと抽苔「トウダチ]して食べれなくなるものに分けるということ。当たり前だが、そこには生物学的な差異を見つける視点は皆無。それに、食べる側の見方で考えている訳ではなく、栽培側の都合であり、お勧めできるような分類とは言い難い。 しかし、他にもっと優れた分類も見つからないらしい。それに、感覚的にはこの3つで十分通用しそうなので、分類はコレでいこうとなる模様。 問題としては、カリフラワーが両者の中間的になる点くらいのようだ。 ただ、例外として、一つ加えている。 ○古典野菜 よくわからない概念で、唐突に持ち出された感じがするが、文化史本でもあるから、これは致し方あるまい。言葉の通り、現在はほとんど利用されていないが、古代に野菜として通用していたものを追加しておくという話。 ところが、実際にピックアップされているものを見ると、スーパーでよく見かける野菜が多数入っているので、言葉通りでない。特に、山菜の類。栽培品でないから、上記の2グループでの視点とは別なので、こちらに入れるしかないということか。 素人として、自然な分類を考えている立場からすると、非栽培野菜の項を作るのはこまる。栽培化される可能性があるし、栽培品と非栽培品が並んで売られたりする訳で、ゴチャゴチャしてしまうからだ。視点を揃えるなら、花が無く種ができない群を加えたらよかろう。 ○胞子植物葉菜 シダ/羊歯系 ただ、面白いのは、中国で流通しているが、日本では見向きもされなくなったものがあること。確かに、「古典」化しているのだが、そのうち日本でも、ノスタルジーではなく、単にファッショナブルな外来新野菜として再流行する可能性を秘めているかも。 という事で、この本を参考にして、野菜分類を試みてみた。 ■■■果菜■■■ 豆は一種の穀類であり、峻別すべきだろう。 カリフラワーやブロッコリーといったキャベツ類は葉でなく花茎の塊状だから、果菜の方が似つかわしいかろう。 ━実菜━ ○ナス系 ナス,トマト,トウガラシ,ピーマン,・・・ ○オクラ ○ウリ系 【プレイン湿系生食可系】 キュウリ/胡瓜,マクワウリ,メロン,シロウリ,スイカ 【プレイン湿系非生食系】 トウガン/冬瓜(→ 20090901),ヘチマ,ハヤトウリ 【プレイン脱湿系】カボチャ/南瓜(→ 2007.7.24 ) 【苦系】ニガウリ/苦瓜(→ 2008.2.1) 【古代系】ユウガオ/夕顔[カンピョウ/干瓢],ヒョウタン/瓢箪 【新規外来系】ズッキーニ *果実 イチゴ---ベリー類は野菜から外すべきだろう。 ━種菜━ ○豆若莢・未熟豆系 → "豆の種類の表"(20090908) 【土着化済】 枝豆(ダイズ),インゲンマメ,ベニバナインゲン,ライマメ, エンドウ,ソラマメ,フジマメ,ササゲ,ナタマメ,・・・ 【新規外来】 ヒヨコマメ,レンズマメ,・・・ ○豆モヤシ類 ○主穀転換 トウモロコシ ○ホウキグサ/箒草(ホウキギ、トンブリ)(→ 20080304) ━花弁・花茎菜━ ○食用ギク ○洋花---ほとんど飾り用途だが。 ○花茎菜 カリフラワー,ブロッコリー,芥藍 ■■■葉菜類■■■ ━真菜━ ○十字花系葉菜 (→ 20130925) 【大根菜】[葉菜としての大根] 【菜っ葉】 ・油菜系 カラシナ ・蕪菜系 ツケナ ・幅広葉系 ・幅広巻葉系 ハクサイ ・洋モノ クレソン,ルッコラ 【ケール改良作物系】[キャベツとその仲間] ━柔菜(軟弱葉菜)━ ○アカザ系 【ホウレンソウ/ 菠薐草】 (→ 2008.1.29) 【その他】 テンサイ、フダンソウ、オカヒジキ ○ツルムラサキ ○ヒユ *準真菜・生葉: 菊系(シュンギク,スイゼンジナ)、芹系(アシタバ) ━準真菜・生葉━ ○菊花系葉菜 (→ 20131007) ○傘形花系葉菜[芹系] (20131004) ━香辛菜-ネギ類━ ○ネギ系 (→20131008) ネギ,タマネギ,ワケギ,ニンニク,ラッキョウ,ニラ,アサツキ ━香辛菜-ハーブ類━ ○シソ系 (→ 20090520) ○ミョウガ/茗荷 (→ 20071016) ○ワサビ菜 ○他---好き好きだから山ほどある。 ━白化(軟化)菜類━ [セリやミツバ除外] 視点がかなり異なるが、確かに特殊なので。 ・ウド、ホワイトアスパラガス、・・・ ・フキ(白化ではないが)、・・・ ■■■根菜類■■■ 根だが、地下茎もあり、土中塊が正確だが。 ━直根類━ 実態から言えば、大根+蕪+人参の世界で、これに特別な好みとして牛蒡が加わるだけ。 ○ダイコン/カブ/ニンジン ○ゴボウ ○ヤマゴボウ ○テーブルビート(火焔菜) ○ルタバガ(仙台蕪、スウェーデンカブ) ━芋類-主食可能━ → タロイモ/ヤムイモ(20131110) ○ジャガイモ,サツマイモ ○サトイモ,ナガイモ ━芋類-副菜━ ○ハス/蓮根(→ 20071030) ○クワイ/慈姑(→ 2008.7.15)、クログワイ ○ユリネ ○チョロギ/長老喜長老喜(→ (20090106) ━香辛根類━ ○ショウガ/生姜 (→ 20070911) ○ワサビ山葵(→ 20071009) ■■■木の芽類■■■ ・タラノメ(→ 2008.8.5) ・タケノコ(→ 2008.3.25) ■■■胞子植物葉類■■■ 「茸類」は葉ではないから、野菜と言い難いが、拡張して野菜に含めた方が現実的な感じがする。 ━シダ葉(芽)類━ ○ワラビ等 (→ 20131106) 【参考】 和名類聚抄(931-938辺りの編纂)は、以下のように分類している。 稲穀 蒜類 藻類 菓蓏 菜類 草類 苔類 蓮類 葛類 竹類 木類 これらの直前は「虫類」だから、「藻類」や「苔類」といった分類項目が登場するのはわかるが、結構、実用的視点での項目立てが目立つ。先ず、「稲穀」(イネ科)が独立項目だ。その程度ならわかるが、「蒜類」(ネギ系ユリ科)も一つの項目。別途「菜類」もある訳で、なんとなく一緒にしたいところだが、そうはならない。当然ながら、果菜的なものも一項目。そして、別途「草類」が存在することになる。 考えてみれば、これが一番ピンとくる分類かも知れぬ。 小生が成る程と感心したのは、「草類」、「葛類」、「竹類」、「木類」と大きな見方をしている点。葛は言うまでもなく「蔓植物」であり、竹と同様に、普通の生活感で眺めれば、木本植物と一緒分類するのには無理があろう。「蓮」も、水中で茎が成長するから、草と分ける気分はよくわかる。 分類の考え方−INDEX >>> HOME>>> (C) 2013 RandDManagement.com |