→INDEX ■■■ 今昔物語集の由来 [2020.6.17] ■■■ [353] 座右の仏法話本の巻[巻十一] 巻一〜巻三____ 天竺 巻四_______ 天竺 付仏後 巻五_______ 天竺 付仏前 巻六〜巻七____ 震旦 付仏法 巻八_______ (欠巻) 巻九_______ 震旦 付孝養 巻十_______ 震旦 付国史 巻十一〜巻十七__ 本朝 付仏法 巻十八______ (欠巻) 巻十九〜巻二十__ 本朝 付仏法 巻二十一_____ (欠巻) 巻二十二〜巻二十三 本朝 巻二十四〜巻二十五 本朝 付世俗 巻二十六_____ 本朝 付宿報 巻二十七_____ 本朝 付霊鬼 巻二十八_____ 本朝 付世俗 巻二十九_____ 本朝 付悪行 巻三十〜巻三十一_ 本朝 付雑事 まだ、以上のすべてを見た感覚は得てはいないが、かなり全体を眺めた気になってきたので、"本朝 付仏法"とされている巻、それぞれを、出典と思しき書籍とどの様に対応しているのかザット眺めておきたい。そこから、各巻の構成を確認しておこうと思う。 そういうことで、先ずは、巻十一。 ここは、編纂方針の象徴とも言えそうな、3譚(①聖徳太子、②行基菩薩、③役優婆塞)から始まる。 どう考えても、「今昔物語集」本朝仏教部の主引用元は以下の4本だが、それらと、この冒頭3譚との関係を眺めると、どのような方針で記載しているのかが見えてくる。・・・ 験記「大日本国法華経験記」 上_1 聖徳太子 上_2 行基菩薩 上_3 比叡山建立の伝教大師 上_4 慈覚大師 霊異記「日本国現報善悪霊異記」 上_1 捉雷 上_2 狐為妻令生子 上_3 得雷之喜令生子強力在 上_4 聖徳皇太子示異表 上_5 信敬三宝得現報…聖徳太子、行基 上_6 憑念観音菩薩得現報 上28 修孔雀王法得異力現作仙飛天…役行者 : 中_7 智者誹変化聖人現至閻闕受苦…行基 : 中30 行基大徳攜子女人視過去怨令投淵 往生「日本往生極楽記」📖「日本往生極楽記」 [_1] 聖徳太子 [_2] 行基菩薩 [_3] 傳燈大師 [_4] 慈覚大師 絵詞「三宝絵詞」📖法会一瞥 中_1 聖徳太子 中_2 役行者 中_3 行基菩薩 すぐに気付くのは、冒頭に本朝仏聖を並べる場合、①に聖徳太子という観念は確立していたようだし、それに並ぶのは行基菩薩との見方もほぼ常識化していたように映る点。しかし、役行者がそれに続くという感覚が一般的であったようには見えない。 本朝3仏聖を打ち出しているのは「三宝絵詞」だけである。つまり、「今昔物語集」編纂者は、これに共感を覚えたということに他なるまい。しかし、その順番は異なり、①聖徳太子、②行基菩薩、③役優婆塞とし、聖徳⇒行基の流れを重視していることになろう。 考えてみれば、これは当然のことかも。 「三宝絵詞」とは、経験記・霊異記・往生極楽記のような直接引用集ではなく、そのような書から引用した書であり、「今昔物語集」の立場と同じだからだ。従って、同じ元ネタを選ぶことにしたなら、なにも敢えて新しい文章を立てる必要などないから、ママで文章をコピーしてもよい訳だ。 しかし、多くの場合は、元ネタに手を入れていると見るべきだろう。 それこそが、仏教の伝統と考えていた可能性も高かろう。 一生で眺め切れないほどの経典があるが、これは、釈尊の一つの話の文章化が幾通りも生まれ、分割結合化が行われ、補足や削除が加えられ、目的に応じて編纂された結果であるのは自明だから。 実際、「今昔物語集」のなかには、巻のコンセプトに合わせるためではないかと思われるような、いかにも強引な添削と思しき箇所がある。 と言うことで、巻十一の構造。・・・ 〇#1〜12譚は僧伝記。 #1〜3 ❸本邦三仏聖 国家統治の聖徳太子 民衆参加の大規模土木事業のリーダー役 行基菩薩 土着の山岳行者 役優婆塞 #4〜8 奈良の大寺を率いた留学僧達や渡来僧 #9〜12 弘法大師・伝教大師・慈覚大師・智証大師 〇#13〜38譚は諸寺縁起 #13〜21 ❼南都大寺 +法華寺・尼寺(光明皇后)+法隆寺・四天王寺(聖徳太子) #22〜24 古寺 #25〜28 真言・天台系 #29〜38 有名寺院 巻十一 本朝 付仏法(仏教渡来〜流布史) :創建縁起譚> 《1-12僧伝記》 [_1] 《蘇我馬子私寺》《四天王寺》《橘寺》(聖徳太子)❸ 《興福寺東金堂》《鵤寺》 聖徳太子於此朝始弘仏法語📖本邦三仏聖📖弥勒菩薩 ⇒霊異記上4聖徳皇太子示異表+上5信敬三宝得現報 ⇒絵詞中1聖徳太子 [_2] 《薬師寺》 《元興寺》(行基菩薩)❸ 《河内 椙田寺》(智光) 行基菩薩学仏法導人語📖本邦三仏聖📖架橋📖文殊化身 ⇒験記上2行基菩薩 ⇒往生[_2]行基菩薩 ⇒絵詞中3行基菩薩 [_3] 《−》(役優婆塞)❸ 役優婆塞誦持呪駈鬼神語📖本邦三仏聖 (後半欠文) ⇒霊異記上28修孔雀王法得異力現作仙飛天 ⇒絵詞中2役行者 [_4] 《元興寺 禅院》(道照和尚) 道照和尚亙唐伝法相還来語📖留学僧 ⇒霊異記上28修孔雀王法得異力現作仙飛天+上22勤求学仏教弘法利物臨命終時示異表 [_5] 《山階寺》 (道慈和尚)…神叡 道慈亙唐伝三論帰来神叡在朝試語📖留学僧📖虚空蔵菩薩 出典不詳 [_6] 《山階寺》 (玄ム僧正) 玄ム僧正亙唐伝法相語📖留学僧📖藤原広嗣の乱 出典不詳 [_7] 《東大寺》⇒《大安寺》(婆羅門僧正) 玄ム僧正亙唐伝法相語📖渡来高僧📖文殊化身 ⇒験記上2行基菩薩 ⇒往生[_2]行基菩薩 ⇒絵詞中3行基菩薩 [_8] 《東大寺》《(唐)招提寺》(鑑真和尚) 鑑真和尚従震旦渡朝伝戒律語📖渡来高僧 ⇒絵詞下5布薩 [_9] 《伊豆桂谷の山寺》《東大寺》《久米寺》(弘法大師) 《大安寺》(勤操僧正) 《槙尾山寺》(勤操僧正) 弘法大師渡唐伝真言教帰来語📖弥勒菩薩📖文殊化身 ⇒絵詞下12高雄法花会 [10] 比叡山(伝教大師), 《仏隴寺》(行満座主), (智者大師), (順暁和尚:真言教) 伝教大師亙唐伝天台宗帰来語📖平安期の寺📖伝教大師の薬師仏像 ⇒験記上3比叡山建立の伝教大師 ⇒絵詞下3比叡懺法+下27比叡灌頂 [11] 比叡山(慈覚大師) 慈覚大師亙唐伝顕密法帰来語📖円仁入唐物語📖伝教大師の薬師仏像 ⇒験記上4慈覚大師 ⇒絵詞下16比叡舎利会 [12] 比叡山(智証大師) 智証大師亙唐伝顕密法帰来語📖琉球國📖文殊化身 出典不詳 《13-38諸寺縁起》 [13] 《東大寺》 (聖武天皇)…隆尊❼ 聖武天皇始造東大寺語📖南都の寺 ⇒絵詞下22東大寺千花會 [14] 《山階寺/興福寺》 (淡海公) ❼ 淡海公始造山階寺語📖南都の寺 (後半欠文) 出典不詳 [15] 《元興寺》 (聖武天皇)❼ 聖武天皇始造元興寺語📖弥勒菩薩 出典不詳 [16] 《大安寺》 (代々天皇)❼ 代々天皇造大安寺所々📖南都の寺 (後半欠文) ⇒絵詞下17大安寺大般若会 [17] 《薬師寺》 (天智天皇)❼ 天智天皇造薬師寺語📖薬師寺ご本尊 ⇒絵詞下17大安寺大般若会 [18] 《西大寺》 (高野姫天皇)❼ 高野姫天皇造西大寺語📖南都の寺 (後半欠文) 出典不詳 [19] 《法華寺・尼寺》 (光明皇后) 光明皇后建法華寺為尼寺語📖藤原広嗣の乱 (欠文) ⇒絵詞下13法花寺花厳会 [20] 《法隆寺》 (聖徳太子)❼ 聖徳太子建法隆寺語 (欠文) 出典不詳 [21] 《(四)天王寺》 (聖徳太子) 聖徳太子建天王寺語📖南都の寺 ⇒霊異記上4聖徳皇太子示異表+上5信敬三宝得現報 ⇒絵詞中1聖徳太子 [22] 《元(本)元興寺/飛鳥寺》 (推古天皇) 推古天皇造元元興寺語📖南都の寺 出典不詳 [23] 《現光寺/比蘇寺》 (n.a.[屋栖野による仏像護持]) 建現光寺安置霊仏語📖南都の寺 ⇒霊異記上5信敬三宝得現報 [24] 《久米寺》 (久米仙人) 久米仙人始造久米寺語📖久米仙人📖仙境 出典不詳 [25] 《高野山》 (弘法大師) 伝教大師始建比叡山語📖平安期の寺📖仙人空海📖弥勒菩薩 出典不詳 [26] 比叡山(伝教大師) 伝教大師始建比叡山語📖平安期の寺📖伝教大師の薬師仏像 ⇒絵詞下3比叡懺法+下19比叡受戒+下30比叡霜月會 [27] 比叡山《首楞厳院》@横川 (慈覚大師) 慈覚大師始建楞厳院語📖平安期の寺 ⇒絵詞下16比叡舎利会+下25比叡不断念仏会 [28] 《三井寺》 (智証大師) 智証大師初門徒立三井寺語📖平安期の寺 出典不詳 [29] 《志賀寺》 (天智天皇) 天智天皇建志賀寺語📖弥勒菩薩 ⇒絵詞下10志賀伝法会 [30] 《笠置寺》 (天智天皇御子) 天智天皇御子始笠置寺語📖平安期の寺📖仙人空海📖弥勒菩薩 出典不詳 [31] 《長谷寺》 (徳道上人) 徳道上人始建長谷寺語📖平安期の寺 ⇒絵詞下20長谷菩薩戒 [32] 《清水寺》 (田村将軍) 田村将軍始建清水寺語📖清水寺縁起 出典不詳 [33] 《広隆寺》 (秦川勝) 秦川勝始建広隆寺語 (欠文) 出典不詳 [34] 《法輪寺》 (□□□) □□□建法輪寺語 (欠文) 出典不詳 [35] 《鞍馬寺》 (藤原伊勢人) 秦川勝始建広隆寺語📖平安期の寺8 出典不詳 [36] 《信貴寺》 (修行僧明練) 修行僧明練始建信貴山語📖信貴山縁起 出典不詳 [37] 《龍門寺》 (□□□) □□□始建龍門寺語📖仙境📖明日香村岡寺の由緒 (欠文) 出典不詳 [38] 《龍蓋寺》⇒《興福寺/山階寺》 (義淵僧正) 義淵僧正始造龍蓋寺語📖明日香村岡寺の由緒 出典不詳 (C) 2020 RandDManagement.com →HOME |