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■■■ 2015年10月10日 ■■■

巻貝分類総集編…

巻貝の分類学上の名称は「軟体動物門腹足綱」。生きている際の体躯で考えるべきだということで、足の形状で分類しているのだろうか。確かに、巻いているとは思えない、単なる1枚貝のようにしか見えない貝も入っているから、わからないでもないが。
ただ、貝殻拾いと店頭での購入でしか接点が無い人間にはそれではさっぱり面白くなかろう。雑草のように、雑貝と呼びたい人は別だが、興味が湧いた貝の名前くらいは想像してみたいもの。従って、貝殻外観分類は欲しいところ。

といっても、貝類図鑑に掲載されているような、同定のための判定分岐図を覚えたい訳ではない。生活者からすれば、なんとなく、名前がわかれば十分である。
といった発想で、分類してみたが、結構難しいものである。
ただ、そんなことをしているのは、分子生物学から判明した分岐と結びつければよいナという思いもある。わかり易く描いて欲しいものである。例えば下記の如く。
┌(0)前腹足軟体類
┌┤┌(1)元祖腹足類
│└┤┌(2)古腹足類
└┤
└┬(3)新腹足類
┌┤└─(3-X)異端新腹足類
==
└─────(Z)擬腹足非軟体類

もちろん、分析結果に基づいて"機械的に"抽出した結果を提示だけされても、素人にはなんの意味もない。分岐と、ボディプランの核としての貝殻形状及び生息状況がどう繋がるか見えるようにしてもらわねば。それで、初めて進化のシナリオが勝手に想定できるのだから。

結局のところ、遺骸たる貝殻を見て、素人的にシナリオを考えたりした結果は下記の程度。実に難しいものである。もっとも、貝類とは、本来的には、そういうもの。簡単に、大きな分類ができるようになってしまうということは、種の数が減っていることを意味していよう。そのかわり、素人にはほとんど見分けがつかないような細かな分類が進んだりする。それは、貝類が進化のパトスを失っていることを示すと解釈すべきでは。

無巻一枚貝的殻
 <笠貝類と偽笠貝類>[→]
  笠貝,蔦之葉貝,鵜貝,鴨貝,嫁ヶ笠貝
  雪之笠貝,円錐笠貝,白笠貝貝
  落葉松貝
  風鈴千鳥貝,雀貝
  陣笠単衣貝,亀の子節鰓貝
  勢水貝
古代彷彿型殻
 <穴明笠貝類>[→]
   透貝,乙姫笠貝
 <片貝類>[→]
   鮑,耳貝,安房舟
 <切口付巻貝類>[→]
   翁恵比寿貝,口切恵比寿貝,寶珠恵比寿貝
丸的殻
 <磯玉類>[→]
  戎貝,古屋,千種,芦屋
  馬蹄螺,久保
  錦渦貝/Button top shell・・・<純円錐形巻貝>
  岩殻,熊の子
  石畳,小(螺)子,喜[幾]佐古
  (玉黍) 象水母[→]
 <半球形巻貝類>[→]
  蜑小舟貝,鹿之子
 <栄螺類>[→]
  栄螺,夜光貝
  片部貝,酢貝,裏渦貝,山椒貝
  輪宝貝,薊貝
  [少々異なる]龍天栄螺/Tapestry Turban,龍巻栄螺/Reeve's Turban
 <球形巻貝類>[→]
  玉貝,富貝,栗貝,袋貝,卵貝,猫貝,鼠貝,津免多貝
 <単純円錐形巻貝/Creeper
  鬼角貝,蟹守/Koch's Vertagus
長紐体躯向殻(古典的形状)
 <淡水棲小辛螺類>[→]
  田螺,山田螺,林檎貝
棒紐状体躯向殻
 <角状細筒貝類>[→]
  角貝
 <微小角状細筒貝類>
  ・・・殻は管状で若干湾曲。片端は塞いである。
  微塵筒貝,曲玉微塵筒貝,微塵切筒貝,
   微塵限々筒貝[4mm]
   【類似二枚貝あり】小筒貝,机貝/Cuneiform Clam
 <海辛螺類>[→]
  赤-白-疣,天狗,長沖,姫,桔梗
 <川(蜷)螺[カワニナ]/Freshwater snail/放逸短溝蜷
特異形状殻
  千巻法螺/Trapezium horse conch/角赤旋螺・・・階段螺層
  針長輪宝貝/Yoka Star Turban/長棘星螺
二枚貝的殻
  玉野緑貝/Bivalved snail
塔形殻
  唐冠貝[トウカムリ]/Horned helmet shell/唐冠螺
  鬼之角貝/Giant knobbed cerith
  塔形貝/Giant Atlantic pyram or Dolabrate Pyram/彩環塔螺
  猫の耳口切/Cat's ear pyramid
  裾黒口切/Acorn Pyramid
頑丈体躯型巻貝
 <光輝貝類>[→]
  
  御簾貝,屋形貝,屋形貝,紺絞貝
 <海鼠喰貝類>[→]
  枇杷貝,無花果貝
  八代貝,幌貝,常盤貝,宮代貝,梨形宮代貝
  椰子貝,メロン貝
  揚桃貝,苺揚桃貝
 <法螺類>[→]
  法螺貝/藤津貝,疣法螺
 <解巻貝類>[→]
  蚯蚓貝,百足貝,大蛇貝
  石鏑貝
 <貝殻収集貝類>[→]
  熊坂
   (絹笠 or 衣笠貝)・・・【低円錐巻貝】熊坂貝類縁
猛巻貝
 <粒螺類と巻類>[→]
  バイ[],ツブ[粒/壺]
 <微小バイ>
  小豆貝、胡麻貝、芥子貝
 <棘霊貝類と重厚霊貝類>[→]
  悪鬼貝,骨貝
  華仙貝,紡績車貝
  護法螺貝,水字貝,蜘蛛貝
  瓔珞貝,芭蕉貝,枝貝
  水晶貝,枕袖貝
 <筍貝類とその近縁>[→]
  貝,紫竹貝,錐貝,木賊貝
  枕貝,蛍貝,筆貝,矢立貝,土筆貝,箕虫貝
 <里芋貝類>[→]
  貝,身無貝/Cone snail/芋螺,籬貝[→]
円盤殻■・・・淡水棲 肺呼吸可能 無蓋
  平巻貝/Ramshorn or Ram's horn snail
有肺微小貝
 <うみうし類似型>極小笠を背おう。
  米粒渚の滴り,渚の露・・・海岸
 <ニナ類似型>
  浜椎の実貝・・・磯
殻喪失貝
 <翼浮遊極薄殻貝類>[→]
  亀貝,クリオネ
 <うみうし/海牛系統>[→]
  海胡蝶 or 着綿/Headshield slug/泡螺
  緑貝/Sap-sucking slug/吸液蛞蝓
  雨降 or 雨虎/Sea hare/海兔[→]
  単衣貝/Sidegill slug/側鰓蛞蝓
  昔海牛/"Nudibranch"/裸鰓海蛞蝓
 <立浪貝/Wedge sea hare/龍骨海鹿
陸棲肺呼吸貝
 ・・・触覚の眼の位置が基底部か先端かで区別
 <なめくじ・かたつむり系統>
  蛞蝓/Slug/蛞蝓,水蜒蚰 or 鼻涕
  蝸牛/Land snail/

まだ、抜けているものが数多くあるのだが、それをどのように扱うべきかは、手に余るので、ここらまでで一段落とさせて頂こう。

【追記】
腹足類の古典的分類体系は形態に基づく。これが分子生物学の分岐分類と一致しないため、現在は、ほとんど使用不可な状況に陥っている。
そうでなくても、巻貝は分類群の数が多すぎ。概念的把握を妨げる悪例と言ってもよさそうなほど。素人的に言えば、ある時期に一斉に多様化が発生したため、他の生物分類と同じやり方では無理があるということ。
従って、"「腹足」綱-亜綱-上目-目-亜目-上科-科"との階層構造で「整理」すると、様々な多数の種が並列に並んだりする。それを避けるために、階層構造に手を入れれば深くなるから全体像は見えなくなっていく。どう工夫しようが、レベル感覚を欠く現実離れした煩雑な表記にならざるを得ないのが実情。
しかし、それらを暗記してきた人達にとっては、用語を捨てるなどもってのほかだろうから、おそらくいつまでもこの状態が続く。
現段階でも、分岐分類はまだまだ改訂途上のようだが、とりあえずの全体像を簡略化するとこんな具合か。
〇笠型
〇"古"
〇ワタゾコシロガサ
〇アマオブネ型
〇"新生"
   原始紐舌
   吸腔
   高腹足─タマキビ型,翼舌,新腹足
〇異鰓
   原始的
   後鰓─頭楯,有殼翼足,裸殻翼足,アメフラシ型,スナウミウシ,嚢舌,
      ニセイワヅタブドウガイ,ヒトエガイ類
      裸鰓系(側鰓,真正裸鰓─Euarminida,枝鰓類/オオミノウミウシ)
〇有肺
   基眼
   真正有肺─収眼,柄眼(板顎,直輸尿管,曲輸尿管類)


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