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■■■ 今昔物語集の由来 [2019.12.15] ■■■
[168] 鬼だらけ
"鬼"という単語が使用されている譚は多い。すでに取り上げてはいるが、多いので網羅するのは一仕事になりそうなので、手付かずの範囲も少なくない。
どの程度の数になるのか、数えるつもりがなかったので、当てにはならぬ数字だが、70を越えるかも知れない。(繰り返しになるが、多義的に用いられている言葉なので、分析的に整理したところで、研究者以外には意味が薄かろう。)
ただ、根幹は、あくまでも、ヒトを襲う"恐ろしい鬼👹"だろうから、それらを確認するために整理してみた。
本朝の鬼譚を集めた、巻二十七の構成を見ると、鬼と霊の間の線引きは人によって違うので、ご注意あれということのようだ。例えば、ヒトを殺す、生霊と死霊という分け方なら、後者だけが鬼と規定されるものの、中華帝国的定義の鬼=死霊という見方がある訳ではない。死霊なのか、
俯瞰して眺めれば、訳のわからぬ現象は、鬼由来ということで一件落着の風土であるゾと教えてくれているのだろう。

巻二十七の---
  【本朝世俗部】巻二十七本朝 付(変化/怪異譚)
  [巻二十七#_1]三条東洞院殿 [→平安京の妖怪屋敷]
  [巻二十七#_2]川原院融左大臣宇陀院見給語 [→源融] [→平安京の妖怪屋敷]
  [巻二十七#_3]桃園柱穴指出児手招人語 [→平安京の妖怪屋敷]
  [巻二十七#_4]冷泉院東洞院僧都殿 [→平安京の妖怪屋敷]
  [巻二十七#_5]冷泉院水精成人形被捕語 [→陽成院の御殿]
  [巻二十七#_6]東三条銅精成人形被掘出語 [→器物霊]
  [巻二十七#_7]在原業平中将女被👹  [→在原業平の鬼]
  [巻二十七#_8]於内裏松原成人形女語👹  [→宴の松原のバラバラ殺人]
  [巻二十七#_9]参官朝庁弁為👹  [→惡作劇]
  [巻二十七#10]仁寿殿台代御灯油取物来語 [→燈油を盗む物の怪]
  [巻二十七#11]或膳部見善雄伴大納言 [→疫病神の伴善男]
  [巻二十七#12]於朱雀院被取餌袋菓子語 [→燈油を盗む物の怪]
  [巻二十七#13]近江国安義橋人語👹 [→架橋]
     身長9尺もの身体は緑青色にして、
     蓬のような頭髪で、
     朱色の顔に琥珀の如き一つ目。

  [巻二十七#14]従東国上人値👹 (後半欠文)
  [巻二十七#15]産女行南山科値逃語👹  [→山姥]
  [巻二十七#16]正親大夫□□若時値 [→恐怖死]
  [巻二十七#17]東人宿川原院被取吸妻語👹  [→源融]
  [巻二十七#18]現板来人家殺人語👹  [→惡作劇]
  [巻二十七#19]現油瓶形殺人語 [→油瓶鬼]
  [巻二十七#20]近江国生霊来京殺人語
 尾張に帰る下郎の話。
 都大路で、自称近江の女に道案内を頼まれ、やむなく連れて行く。
 女は家の中に消えてしまる。
 すると、その主が突然死んでしまい、その家では大騒ぎに。
 帰国途中にその女の家に立ち寄ってみると、その女がいた。
 礼を言われ、お土産を頂戴した。
 死んだ主は女を捨てて帰京したので、
 女の恨みがこまった生霊が襲ったのだろうということに。

  [巻二十七#21]美濃国紀遠助値女遂死語
 美濃の関白の生津荘園も管理していた下総守藤原孝範の話。
 都に派遣していた紀の遠助が美濃へ帰る時のこと、
 瀬田の橋で女に箱を渡してくれるように頼まれた。
 箱を開けて中を見ないようにと云う約束で、安請け合い。
 その箱を、家に持って帰ってしまった。
 妻が怪しいと見て、蓋を開けると
 人の目玉や陰部が入っていた。
 仕方なしに、知らん顔で、約束通りに箱を渡したが、
 女は箱を開けたと怒る。
 帰宅してしばらくすると、遠助は死んでしまう。

  [巻二十七#22]猟師母成子語👹
 猟師の兄弟が、木の上で獲物を狙っていると、
 腕が出てきて、兄の髻をつかんで引き上げた。
 驚いた弟は矢を射た。
 手応えがあり、見ると、骨と皮だけのの手首。
 帰宅すると、母親が部屋で呻いていた。
 覗いてみると、手を失った母親。
 母親に襲い掛かられたが、結局、、母親は死んでしまった。

  [巻二十七#23]播磨国来人家被射語 [→陰陽師]
巻二十七の非鬼---
  [巻二十七#24]人妻死後成本形会旧夫語
 遠方に赴任するので、
 長年愛した妻を捨て、新しい妻と任国へ下った男の話。
 当地では十分な生活を送っていたが、任期完了で帰京。
 元の妻に会いたくなり、訪れてみると、
 荒れ放題の家に妻が一人座っていた。
 一夜を過し、朝、起きると
 隣にいるのは、骨皮の死体。
 夫を恋い慕っていた妻だが、
 すでに、一人淋しく亡くなっていたのである。

  [巻二十七#25]女見死夫来語
  [巻二十七#26]河内禅師牛為被借語
  [巻二十七#27]白井君銀提入井被取語
  [巻二十七#28]於京極殿有詠古歌音語 [→京極殿の和歌]
  [巻二十七#29]雅通中将家在同形乳母二人語
 丹波の中将 源雅通の屋敷でのこと。
 乳母が子供を遊ばせていると、もう一人乳母が登場。
 二人が子供を引っ張って取り合いを始めた。
 中将は狐が化けていると見て、抜刀して近付く。
 すると、片方の乳母が消えてしまった。

  [巻二十七#30]幼児為護枕上蒔米付血語
  [巻二十七#31]三善清行宰相家渡語 [→紀長谷雄] [→平安京の妖怪屋敷]
   …実の鬼神と云ふ者は道理を知て不曲ねばこそ怖しけれ。
  [巻二十七#32]民部大夫頼清家女子語 [→狐]
  [巻二十七#33]西京人見応天門上光物語 [→狐]
  [巻二十七#34]被呼姓名射顕野 [→野猪]
  [巻二十七#35]有光来死人傍野被殺語 [→野猪]
  [巻二十七#36]於播磨国印南野殺野 [→野猪]
  [巻二十七#37]変大椙木被射殺語 [→狐]
  [巻二十七#38]変女形値播磨安高語 [→狐]
  [巻二十七#39]変人妻形来家語 [→狐]
  [巻二十七#40]託人被取玉乞返報恩語 [→狐]
  [巻二十七#41]高陽川変女乗馬尻語 [→狐]
  [巻二十七#42]左京属邦利延値迷神語 [→迷し神の地]
  [巻二十七#43]頼光郎等平季武値産女語 [→源頼光]
  [巻二十七#44]通鈴鹿山三人入宿不知堂語 [→鈴鹿山]
  [巻二十七#45]近衛舎人於常陸国山中詠歌死語 [→八溝山]
系---
  【本朝仏法部】巻十四本朝 付仏法(法華経の霊験譚)
  [巻十四#42]依尊勝陀羅尼験力遁難語 [→仏陀波利三蔵]
  【本朝仏法部】巻十七本朝 付仏法(地蔵菩薩霊験譚+諸菩薩/諸天霊験譚)
  [巻十七#42]於但馬国古寺毘沙門伏牛頭助僧語 [→牛鬼]
  【本朝仏法部】巻二十本朝 付仏法(天狗・狐・蛇 冥界の往還 因果応報)
  [巻二十#_7]染殿后為天狗乱語 [→天狗] [→鈴鹿山]
  [巻二十#37]耽財娘為悔語👹 [→初夜の人喰い鬼]
  【本朝世俗部】巻二十四本朝 付世俗(芸能譚 術譚)
  [巻二十四#16]安倍晴明随忠行習道語 [→道場法師子孫の女]
  [巻二十四#24]玄象琵琶為被取語 [→琵琶の名手 源博雅 [玄象]
  【本朝世俗部】巻三十一本朝 付雑事(奇異/怪異譚 拾遺)
  [巻三十一#21]能登国寝屋島語 [→能登沖鬼ノ寝屋島]
  [巻三十一#27]兄弟二人殖萱草紫苑語 [→鬼の醜草]…鬼が墓守
擬似---
  【本朝仏法部】巻十六本朝 付仏法(観世音菩薩霊験譚)
  [巻十六#32]隠形男依六角堂観音助顕身語(👹) [→観音ノ寺参詣]
   …(587年聖徳太子創建の紫雲山頂法寺@中京六角通)
   若き生侍、
の行列に出合い、見つかる。
   唾をかけられ放免だれたが、家族から姿が見えなくなってしまう。
   牛飼の童が登場。祈祷に連れて行かれ衣に火が付き元通り。
   擬似的に殺されたことになる。

天竺---
  【天竺部】巻一天竺(釈迦降誕〜出家)
  [巻一#37]財徳長者幼子称仏遁難語👹
  【天竺部】巻四天竺 付仏後(釈迦入滅後の仏弟子活動)
  [巻四#20]天竺人為国王被召妻人依唱三帰免蛇害語👹

以下は、土着概念ではなく、仏教で定義されている鬼と言えよう。しかし、上記の鬼や霊と同じ様な行動をとることもありうるから、そうなれば峻別は困難である。
鬼神---
  【本朝仏法部】巻十一本朝 付仏法(仏教渡来〜流布史)
  [巻十一#_3]役優婆塞誦持呪駈鬼神 [→本邦三仏聖]
  【本朝仏法部】巻十二本朝 付仏法(斎会の縁起/功徳 仏像・仏典の功徳)
  [巻十二#40]金峰山岳良算持経者語 [→水の沫]
   鬼神が持経者擾乱を図るが、やがて、経を貴ぶように変る。
羅刹---
  【天竺部】巻五天竺 付仏前(釈迦本生譚)
  [巻五#_1]僧迦羅五百人商人共至羅刹国語
  【震旦部】巻七震旦 付仏法(大般若経・法華経の功徳/霊験譚)
  [巻七#15]僧為羅刹女被乱依法力存命語👹
  【本朝仏法部】巻十二本朝 付仏法(斎会の縁起/功徳 仏像・仏典の功徳)
  [巻十二#28]肥後国書生免羅刹難語 [→羅刹鬼]
  【本朝仏法部】巻十七本朝 付仏法(地蔵菩薩霊験譚+諸菩薩/諸天霊験譚)
  [巻十七#43]籠鞍馬寺遁羅刹難僧語 [→羅刹鬼]
餓鬼等---
  【天竺部】巻二天竺(釈迦の説法)
  [巻二#37]満足尊者至餓鬼界語
  【震旦部】巻七震旦 付仏法(大般若経・法華経の功徳/霊験譚)
  [巻七#17]震旦会稽山弘明転読法花経縛
  [巻七#21]豫州恵果読誦法花経救厠鬼

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