→INDEX![]() ■■■ 「古事記」解釈 [2024.6.14] ■■■ [919] ![]() しかし、代替用語が無いので適当に使うしかないが。 ・・・〈仮名〉とは本来的には1拍音表記の漢字であるべきでは。(当該漢字の略字体や草書体が片仮名や平仮名。)しかるに、「萬葉集」の漢字用例は拍数は決まっていないし、あろうことか複数拍や音節的表記もあるし、文字の発音にも一意性は無く、漢字字義に合わせた和訓読みでもOKということで滅茶苦茶。これに合わせるのだから、定義どころではないのは致し方ない。 この状態なのだから、後世の人が読めなくて当たり前ではある。 しかし、「古事記」の用法はこれとは違い明確な方針で表記している筈。そうでなければ、序文で自信をもって、倭語を表記できたと書ける訳がないからだ。しかし、残念ながら、その理解は至難の業。 初めて取り組んだ本居宣長の苦労は並大抵なものではなかった訳だが、限界を露呈せざるを得ない箇所は少なくない。そのため、結局のところ、語学ではなく、思想信条で解釈するしかない訳だ。宣長以後、相当な年月が経過し、細かな点の補正は星の数ほどあろうが、残念ながら、それを越える力作は登場していない。 それほどに難しい書、と言えなくもないが、成立当初からそうだった筈は無く、文字用例検討に力が入っていないことも、深く読み取れない原因になっていそうな気がする。 ・・・他書とは違う使用文字例が多いにも拘わらず、「萬葉集」なら当たり前と見ているのか、太安万侶の当該漢字選定理由について余り考えていないように見える。(例えば、正格の1拍仮名表記文字にしても、同時代の書物では、どうして異なる漢字を当てるのかが部分的にしか説明ができていないように見える。その一方で、表記漢字の意義での表記内容推定には吝かではないようだし、同音異義についての検討もえらく盛ん。バランス悪し。) 但し、これは、社会的風土からくるもので、いかんともし難い。 (小生は、太安万侶は「説文解字」に目を通したと睨んでいる。文章切れ目表示は、この書を参考にしている様にも思えるし、字義をしっかりと踏まえて、非登用や異義化の決断を下していそうだから。国史プロジェクトは、読者層に合わせた漢字用法にならざるを得ないが、「古事記」は、正確に後世に伝えることを旨とする以上、「説文解字」の義を参考にせざるを得まい。ともあれ、重要なのは、表記漢字選択については、かなり神経を使っていそうな点。[尚、現代に至るも「説文解字」原文の邦訳本が作られた形跡は無さそう。叙によれば、編纂目的は経書解釈の混乱を正すため、とされているにもかかわらず。おそらく、参考にするのは現代に近くなって成立した質の高い注釈漢籍。解り易いが、そこからは、太安万侶が原文から得た印象は想定できないと思う。]) ・・・と言うことで、「古事記」原文を読もうと思うなら、「説文解字」はさらっとでも見ておいた方がよいと思う。 ![]() ![]() (C) 2024 RandDManagement.com →HOME |