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■■■ 「古事記」解釈 [2022.2.12] ■■■
[407]遺志に反し円墳御陵にされたか
円墳は珍しくはないが、御陵が前方後円墳であるからこその、倭國大王位の筈である。そのような記述は「古事記」には一切無いものの、御陵名の存在こそが大王の証とでも云うかの如き記載になっているところからみて、廃止になるまでは、前方後円墳御陵であるのは当たり前のことと考えてよいだろう。
📖御陵名非掲載の意味 📖御陵記載が必須である意味

ところが、どうも、例外があるようだ。

長谷_朝倉大長谷若健命(雄略天皇)河内多治比高鸇の所在地は、河内國丹南/丹北郡の、高鷲(@羽曳野)が当たると見られる。
しかし、そうなると比定古墳は円墳になってしまう。しかも規模的に目立たず、覇権を確立した大王陵墓にはそぐわない。
 島泉丸山古墳(円墳75m-H:8m)…丹比高鷲原陵[宮内省治定]
   +[一体型改修で疑似前方後円化]島泉平塚古墳(方墳50m-H:8m)

比較的近辺の2つの何れかということにするしかなさそうだが、辻褄合わせと言えなくもなく、なんとも言い難し。
 河内大塚山古墳(前方後円335m)…大塚陵墓参考地
 岡見三才古墳(前方後円238m)
河内国志紀郡には以下の3御陵が存在しており、これらが何処にあるのかも合わせて考えておく必要があるからだ。・・・
遠飛鳥__男淺津間若子宿禰命(允恭天皇)河内惠賀長枝
 市野山古墳
軽嶋_明品陀和気命/大鞆和気命(応神天皇)川内恵賀裳伏岡
 誉田御廟山古墳
穴門之_豊浦宮 & 筑紫_訶志比帯中津日子天皇(仲哀天皇)河内惠賀長江
 岡見三才古墳

河内国の多治比(=丹南/丹北郡)とわざわざ記載しており、高鸇が高鷲という地名ということであれば、円墳で小さくて、大和朝廷の傑出した天皇に不釣り合いであろうが、太安万侶はそれを知りながら、御陵と推定した可能性は否定できない。

●古市
  誉田御廟山425m▲▲▲=恵賀之裳伏岡◇15🈭
  河内大塚山335m▲▲▲🈝
  仲津山286m▲▲🈭
  岡見三才238m▲△=河内惠賀之長江陵◇14🈝/🈭
   鉢塚60m
  市野山227m▲△=河内之惠賀長枝陵◇19🈭
  古市墓山224m▲△🈭
  津堂城山202m▲△🈜
  軽里大塚/前の山200m=白鳥陵◇🈭
  野中宮山154m△🈭
  古室山150m△🈭
  野中ボケ山122m
  高屋築山122m=河内古市高屋村陵◇27
  白髪山115m
   小白髪山46m
  大鳥塚110m
  二ツ塚110m
  はざみ山103m
  峯ヶ塚96m
  島泉丸山古墳75m=河内多治比高◇21

大長谷若健命は独特の"武"的キャラクターで絶大な権力を握っていたと見て間違いないだろう。皇位継承争い打ち止めを狙ったのか、親族殺害を一気に進めたことが一大特徴である。その性情からするに、予め寿陵を造営していると考えた方が素直だろう。場所として、高鸇に拘りがあった筈だが、造営完成前の崩御で、とりあえずその地への埋葬が行われたと考えるとストーリーとして違和感がなかろう。
その葬儀を白髪大倭根子命が挙行することで、皇位継承が実現することになるものの、朝廷の実権は、17代の御子たる飯豊郎女@葛城 忍海高木角刺宮と重臣達に移行してしまい、中央には皇嗣候補が顕れず、地方は独立王朝を図る動きも発生したりして、造営続行には至らなかっただけのことでは。
ついつい、そう思ってしまうのは、皇嗣の御陵の記載を欠いているから。
伊波禮_甕栗 & 忍海_高木角刺白髪大倭根子命(清寧天皇)
御陵の伝承が見つからないとか、複数存在し確定が難しかったとは考えにくい。古市古墳群の南西端@羽曳野の白髪山古墳(前方後円115m…宮内庁治定:河内坂門原陵)が知られていなかったとは思えないし。

伊波禮_甕栗 & 忍海_高木角刺白髪大倭根子命(清寧天皇)
長谷_朝倉大長谷若健命(雄略天皇)河内多治比高鸇
石上_穴穂穴穂御子(安康天皇)菅原伏見岡
遠飛鳥__男淺津間若子宿禰命(允恭天皇)河内惠賀長枝
多治比_柴垣水歯別命(反正天皇)毛受野
伊波禮_若櫻伊邪本和氣命(履中天皇)毛受(百舌鳥)
難波高津大雀命(仁徳天皇)毛受耳原
軽嶋_明品陀和気命/大鞆和気命(応神天皇)川内恵賀裳伏岡
__息長帯比売命/大帯比売命(神功皇后)沙紀_盾列池上
穴門之_豊浦宮 & 筑紫_訶志比帯中津日子天皇(仲哀天皇)河内惠賀長江

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山邊之道上陵とは


片丘とは建内宿祢勢力の地か

 ■■■ 御陵 ■■■ 
科長は新時代の
集合墳墓地

河内の坂門原は
お話と見たか

兄弟とその皇位継承者間に
問題ありか

檜垧宮天皇御陵は
継承儀式無しか

形状変更の
合陵は非掲載か

御陵名非掲載
の意味

石寸から王陵の谷への
改葬とは何か

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