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■■■ 「古事記」解釈 [2022.2.16] ■■■
[411]下巻末部記載御陵の比定地確実性
「古事記」編纂の詔は㊵天武天皇が発したとされる。「古事記」最終段は㉝推古天皇だが、ここらの御陵比定古墳はどの程度の確実性があるのか気になるので、簡単に眺めてみることにした。

素人目でも、㊴は敗戦でどのような扱いがなされたのか、公的表明がなされる訳もなく、敗残勢力復活に利用されたりしかねないから御陵の記録は抹消されて当然であろう。
それ以外の㉞〜㊵については、㊱孝徳天皇を除けば、宮内庁治定地で間違いなかろう。何故に、この御陵の名称はは大坂磯長陵ということから、科長陵墓地区で最後に造成されたと考えられるものの、大坂道の名称での同定は難ありだし、確定はしにくい。
このことは、「古事記」に記載されているこの辺りの御陵についても、比定の確実性は高いとは言い難いことになろう。
天武天皇…【確実】野口皇ノ墓古墳
弘文天皇…【不詳】
天智天皇…【確実】御廟野古墳
   …但し、国史には御陵の記載を欠く。理由は不明。
皇極天皇/㊲斉明天皇…【確実】車木ケンノウ古墳
孝徳天皇…【❔】山田上ノ山古墳
舒明天皇…【確実】段ノ塚古墳
---↓「古事記」  ↑「古事記」後の系譜: 📖書誌的事項から想像すると
__岡本(舒明天皇)
__小治田豊御食炊屋比売命(推古天皇)大野岡上⇒河内 科長大陵
倉橋_柴垣長谷部若雀命(崇峻天皇)倉椅岡上
__池邊橘豊日命(用明天皇)石寸掖上⇒科長中陵
__他田沼名倉太玉敷命(敏達天皇)川内_科長

磯長にある㊱孝徳天皇御陵がどの古墳かの同定は難しいと書いたが、ここには5つの大王クラスの古墳があるから、そのどれかであろうという程度の推定は、素人でも可能である。・・・
_____梅鉢御陵@磯長谷古墳群
__________
_____聖徳太子墓_孝徳天皇陵
_______ 用明天皇陵
_____敏達天皇陵_推古天皇陵
__________
 【宮内庁治定】
[南東]山田高塚古墳(方 63m×56m)
   …磯長山田陵(推古天皇)
         +竹田皇子(敏達天皇皇子)墓合葬陵

[南西]太子西山古墳(前方後円 93m)
   …河内磯長中尾陵(敏達天皇)
         +磯長原陵(石姫皇女/欽明天皇皇后)合葬陵

[中央]春日向山古墳(方 63mx60m)
   …河内磯長原陵(用明天皇)
[北東]山田上ノ山古墳(円 30m)
   …大阪磯長陵(孝徳天皇)
[北西]叡福寺北古墳(円 55m)
   …磯長墓(聖徳太子)

「古事記」では、㉛は中陵とされているから、中央の御陵なのだろう。さらに、1つだけ前方後円墳があるが、これは5つのなかで一番古いと考えられるので、㉚のシンプルな表記の"科長陵"と思われる。「古事記」には聖徳太子墓については記載が無いが、菩提を弔う叡福寺があるから、聖徳太子墓は除外すると、残った2ッが㉝大陵と㊱孝徳天皇陵ということになる。方墳63m×56mと円墳30mであるから、大陵だから前者となる。
軽く考えると、これで上記の比定通りで決着となるが、辻褄合わせで満足しているに過ぎない。
大陵を方墳とすると、63m×56mと63mx60mがあり、最大規模がどちらかはなんとも言い難しだ。それに、孝徳天皇陵は八角墳の筈だが、そのような古墳はなく、崩れたと解釈するしかなかろう。さらに、小生の感覚からすれば、ここは仏教帰依を表明するための地域でもあろうから、前方後円墳がはたして最初に造成したものという理屈は現代人的見方である。仏教で弔われることを嫌って、寿陵として作成された可能性もなきにしもあらずだ。
聖徳太子墓にしても、全く異なる地での伝承もあるそうだから、後世建立の寺があるからといって確定してよいのかはなんともいえない。

要するに、十分に証明されて、上記の比定がなされていると見るべきではないということ。
しかしながら、全般的に見れば、そう大きな間違いはなさそうな感じがする。いくら検討したところで、墓誌が無い以上、決め手となるような証拠を提示することははなはだ難しそうだから、この程度で十分と言えまいか。

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三島之藍陵が摂津最大規模ではない理由


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片丘とは建内宿祢勢力の地か

 ■■■ 御陵 ■■■ 
科長は新時代の
集合墳墓地

河内の坂門原は
お話と見たか

兄弟とその皇位継承者間に
問題ありか

檜垧宮天皇御陵は
継承儀式無しか

形状変更の
合陵は非掲載か

御陵名非掲載
の意味

石寸から王陵の谷への
改葬とは何か

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