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■■■ 「古事記」解釈 [2022.2.17] ■■■
[412]"村"の御陵とは何を意味するのだろう
小長谷若雀命崩御で日續を知らす可き王が存在せず、近淡海国の品太王(天皇)五世孫 袁本杼命を上らせ即位させることになった。

経緯は全くわからないが、この段では、公安警察部門と思われる大連の物部の荒甲と、軍事部門と思われる連の大伴の金村が筑紫の反乱鎮圧に派遣されることが記載されているので、ここらの力が効いているのだろう。

┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼○n.a.
┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼└─┬△n.a.
┼┼┼┼┼┼㉔意祁命┼┼┼┼┼
┼┼┼┼┼┼└─┬△春日大郎女
┼┼┼┼┼┼┼┼├┬┬┬┬┐
┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼│㉕小長谷若雀命
㉖哀本杼命┼┼┼┼┼┼
└─┬△手白髮命───┘
└─㉙天國押波流岐廣庭命
└─┬△若比賣(三尾君等祖)
├─大郎子
└─出雲郎女
└─┬△目子郎女(尾張連等祖 凡連の妹)
   <関係性の可能性ある墳墓>
    断夫山古墳[前方後円151m]@熱田旗屋…陀武夫御墓
    ニ子山古墳[前方後円94m]@味美古墳群(春日井)
├─㉗廣國押建金日命
└─㉘建小廣國押楯命
└─┬△麻組郎女(息長眞手王の女)
└─佐佐宜郎女…伊勢神宮拝
└─┬△K比賣(坂田大俣王之女)
├─~前郎女
├─田郎女
├─白坂活日子郎女
└─野郎女/長目比賣
└─┬△倭比賣(三尾君加多夫の妹)
├─大郎女
├─丸高王
├─耳上王
└─赤比賣郎女
└─┬△阿倍波延比賣
┼┼├─若屋郎女
┼┼├─都夫良郎女
┼┼└─阿豆王

中央の政治勢力にとっては、外部から天皇を迎え入れることになるから、伝統を逸脱しており容認できるようなものではない方策だが、分裂国家化を防ぐためには他に手が無いということで軍事勢力が頃合いを見計らって一気に進めたと考えることもできよう。

物部 v.s. 蘇我の対立もこの結果が後を引いているのは確実では。天皇五世孫が皇位継承してもかまわぬという前例を確立したのだから、臣である物部とは違って、蘇我家が天皇家化してもなんらおかしくないことになるからだ。ただ、明らかに色濃い血脈が存在するなかで、そのような方向を打ち出すのは軍事独裁可能な力がなければ無理であろう。

その辺りの軋轢は、御陵記載にも余韻として表れている。
皇嗣は皇子であるというルールはあるから、㉗と㉘天皇の即位は両省せざるを得まいが、血脈的には極めて薄い訳で、中央政治ではここらは一番問題にされるところであろう。

師木島_大宮天国押波流岐広庭天皇(欽明天皇)
檜垧_廬入野建小広国押楯命(宣化天皇)
勾_金箸広国押建金目命(安閑天皇)河内古市高屋
伊波禮_玉穂哀本杼命(継体天皇)三島
  皇后 手白髪郎女…【宮内庁治定】衾田陵(西殿塚古墳)@天理中山

連れ子に暗殺された㉗天皇の御陵は高屋築山古墳@羽曳野市に治定されているが、「古事記」の記載名は高屋"村"とされており異様。いかにもローカルな存在という風情を醸し出す書き方。中央祭祀が行われる場では無いと示唆しているようなもの。

続く、㉗㉘御陵は非記載である。
太安万侶としては、通説に従う訳にはいかなかったということではなかろうか。
㉗の場合、奈良盆地内と考えるようだが、これは時間軸はよくわからぬとはいえ、2世紀程度なかったこと。この血脈的に縁遠い天皇の祭祀を中央で行えることを中央政治勢力が悦ぶとも思えないから、留保というところか。

㉘からは、朝廷内で蘇我系の力が強くなっていく過程でもあり、蘇我系の墓が巨大化し、御陵と競う迄に。ある意味、㉙からの科長陵の前段である。大王陵の存在が曖昧化して来たことを語っているように思える。

ただ、皇統譜から見れば、皇后 手白髮命が要であり、皇后陵を記載すべきという見方かも。

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下巻末部記載御陵の比定地確実性


三島之藍陵が摂津最大規模ではない理由


個人的贔屓で宝来山古墳を御陵扱いに


佐邪岐皇御陵とは帝王陵墓の意味か


遺志に反し円墳御陵にされたか


山邊之道上陵とは


片丘とは建内宿祢勢力の地か

 ■■■ 御陵 ■■■ 
科長は新時代の
集合墳墓地

河内の坂門原は
お話と見たか

兄弟とその皇位継承者間に
問題ありか

檜垧宮天皇御陵は
継承儀式無しか

形状変更の
合陵は非掲載か

御陵名非掲載
の意味

石寸から王陵の谷への
改葬とは何か

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