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「我的漢語」講座

第4回 海鮮 2010.7.16
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海鲜
 せっかく菜単の話に入ったのだから、魚介類の簡字を眺めておこう。尚、上記の「海」は簡体字では点々。どうも気になるが、ご勘弁。
 小生のパソコンに搭載されているフォントで見つからないので致し方ない。なにか対応の仕方があるのか、それとも見逃してただけか、よくわからぬが。ただ、昔から、「写」の横棒が突き抜けていない簡字体は用意されていないという話はよく聞く。関心がなかったから、どうなっているのか知識を持ちあわせていない。前回の「包」も己ではなくて巳だが、同じ理由でそのまま。

 魚といえば、それはもう漢字の宝庫。漢語を学ぶならここは外せない。
 それに、魚の漢字を色々知っていると嬉しくなったりするもの。これは教育の結果というより、海の幸を重視する和食文化からくるものではないか。
 様々な産品を数多く味わおうという姿勢と、新鮮な素材に見えるものを重視する考え方からすれば、素材の名前を沢山覚えたり、それぞれにどんな特徴があるのか知りたくなる訳だ。

 中華も食材名の豊富さは凄いが、その根底に流れる思想は、はなんでも食べてやろう精神では。食材そのものがどんなものかに関心がある訳ではなさそうだ。あくまでも、自分達の腕で、なんでも美味しくしてやろうとの、あく無き探究心を感じさせられる。

 そんなことも考えながら、漢字を眺めてみようか。
 最初に気付くのは、魚ではないが、蛸も烏賊も魚として扱われている点、泳ぐ姿からいえばそうなるのだろう。和食は活きつくりを最高としたりするから、これは馴染まない。骨がなく、姿も食感も違うから、魚の類に収める訳にはいかない。
    章鱼 たこ>>>
    墨鱼 いか>>>
 これは、アオリイカ>>>のような墨イカ系をさすのかも。筒イカ系のヤリイカやスルメイカは別かも。
    魷鱼 するめいか>>>
 これくらいはよしとするが、なんだかなと思うのは、鼈(スッポン)。甲羅があるだけで、魚扱いなのか。足が八本だろうが四本だろうが泳いでいる食材だから同じ訳か。流石。
    甲鱼
 そういう点では、アワビも不思議。ただ、漢字は日本でも結構使われているから違和感はないが。古代から、干鮑は日本の輸出品だったから当然かも。ただ、鮨屋の湯呑の魚偏の文字では鮑ではなく、普通は鰒だ。これはいかにも感あり楽しいが。
    鮑鱼 あわび>>>


 ということで、貝類を見てみよう。ご存知のように漢字では虫偏の世界になる。蛤  代表はなんといっても蛤。
    文蛤 はまぐり>>>
 浅利は蛤の子供ということか。
    蛤仔/蛤蜊 あさり>>>
 シジミ、カキ、アカガイは同じ。シジミなは誰でも読めるが、滅多に書かないから、忘れがち。
     しじみ>>>
    牡蛎 かき>>>
    赤贝 あかがい>>>
 帆立貝あたりになると、まあわかる。
    扇贝 ほたて貝>>>
 日本でも色付のヒオウギガイ>>>が売られているから。誰が見ても同種だし。
 ついでながら、軟体動物系ではないが、同じくグニャグニャ系食感の海産物がある。そう海月。中華料理でなければ食材にはしまい。虫がついているから貝と同じように考えているのだろうか。水母と書くと聞いたことがあるが、どうなんだろう。
    海蜇 くらげ>>>
 ついでながら、日本人のセンスからいえば似たような食材と考えてしまうのが海鼠。中華では干したものは高級品である。日本ならさしづめウニか。
    海参 なまこ>>>
    海胆 うに>>>

 さあて、甲殻類はといえば、海老/蝦と蟹だ。蟹>>>の文字はそのままのようだ。ただ、忘れてならないのは上海蟹。時期になると、輸入品ありますということで大騒ぎだから。
    大闸蟹 わたりがに>>>
     えび>>>
 “大”で“海”モノならやはりクルマエビ。[基围虾]
 伊勢海老とは龍の海老らしい。
    龙虾 ロブスター
 蝦蛄はそのまま。
    虾蛄 しゃこ>>>


 さあ、ここからが魚。なんで一字にしないれ、わざわざ「魚」という文字をつけねばならぬので面倒きわまりないが、文化の違いだからいかんともしがたい。
 まずは、和の定番から。
    鲷鱼 たい>>>
    鲣鱼/松鱼 かつお>>>
    鲈鱼 すずき>>>
    鲅鱼 さわら>>>
    鲳鱼 まながつお>>>
    鰈鱼 かれい>>>
    鯵鱼 あじ>>>
    帯鱼 たちうお>>>
    鳕鱼 たら>>>
    鲱鱼 にしん>>>
    鳗鱼 うなぎ>>>
 鯰はどうも馴染みが無い漢字なのでこまる。
    鲇鱼 なまず>>>
 大衆魚である鰯は案の定いっぱしの魚とは見られてはいないようだ。
    沙 丁鱼 いわし>>>
 鮪は近年人気ということ。魚偏の文字は使わないようだ。一瞬、金ばかりかかる棺のような魚に見えたが、どういう意味なのだろうか。
    金枪鱼 まぐろ>>>
 鮭も同じく。
    大 马哈鱼 さけ>>>
 尚、鯖>>>だが、避けた方がよさそう。

 淡水魚は中華では一大食材。
    鲤鱼 こい>>>
    鲫鱼 ふな>>>
 鱒の類は海水、淡水のどちらにもいるが、陸封で考えておこうか。
    鳟鱼 ます>>>
 そうそう、忘れてはならないのが、中国特筆の魚。
 草魚は養殖するには便利そうだが、それ以上ではないかも。垂涎ものは、上等な鯉らしい。それに日本ではほとんど知られていない魚二種。
    草鱼 そうぎょ>>>
    桂鱼、白鱼
 観光案内に松鼠桂魚と言う話が掲載されていたりするが、調べていないのでよくわからない。まあ、スズキ系の魚みたいだ。白魚は知られてはいるが、どんなものだろうか。産は太湖。尚、昔から、鯉は黄河、鮒は長江と言われている。たいした意味はなさそうだが。
 日本では、あおうお>>>、はくれん(レンギョ)>>>、こくれん>>>は結構耳にするのだが。

 伊勢海老、鰒、海鼠を取り上げたから、最後にもう一つ加えておくこととしよう。そうくれば、いわずもがなの鱶鰭。
    鱼翅
 そうそう、折角だから昆布も面白い表現だから加えておこう。
    海帯 こんぶ>>>

 と言うことで、第四回はこれまで。
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