→INDEX ■■■ 「古事記」解釈 [2021.4.5] ■■■ [94] 巻末段記載の意義不明 はたして、この程度の系譜収録にどれだけ意味があるのだろうか? ㉛ 弟橘豐日命坐池邊宮治天下參歲。 此天皇。娶稻目宿禰大臣之女。 多米王。〈一柱。〉又娶庶妹間人穴太部王。生御子。上宮之厩戸豐聰耳命。次久米王。次植栗王。次茨田王。四柱。 又娶春日中若子之女。老女子郎女。生御子。難波王。次桑田王。次春日王。次大俣王。四柱。 此天皇之御子等。并十七王之中。日子人太子。(娶庶妹田村王。亦名糠代比賣命。生御子。㉞坐岡本宮。治天下之天皇。)次中津王。次多良王。三柱。 又娶漢王之妹。大俣王。生御子。智奴王。次妹桑田王。二柱。 又娶庶妹玄王。生御子。山代王。次笠縫王。二柱。 并七王。 御陵在川内科長也。 ㉜ 長谷部若雀天皇。坐倉椅柴垣宮。治天下肆歲。 御陵在倉椅岡上也。 ㉝ 豐御食炊屋比賣命。坐小治田宮。治天下參拾漆歲。 御陵在大野岡上。後遷科長大陵也。 ㉞ 坐岡本宮。治天下之天皇。 この3代の天皇に関する記述だけで、「日本書紀」では、卷第廿一㉛用明天皇㉜崇峻天皇と卷第廿二豊御食炊屋姫天皇㉝推古天皇があてられている。推古天皇に至っては、巻末の卅六年秋九月の記述より情報が少ないし、同種の情報がカバーされており、説明迄ある。若干のデータの違いがあるとはいえ、それが重要な指摘とも思えないし。 ・・・比年五穀不登。百姓太飢。其爲朕興陵以勿厚葬。便宜葬于竹田皇子之陵。 壬辰。葬竹田皇子之陵。 いくら史書ではなく、皇統を示す必要があるといっても、簡潔さの度が過ぎる印象は否めない。 ちなみに「古事記」と「日本書紀」の巻構成はこのようになっている。 ㊤・・・①神代上〜②神代下 ㊥・・・③神武天皇 神日本磐余彥天皇〜⑩應神天皇 譽田天皇 ㊦・・・⑪仁コ天皇 大鷦鷯天皇〜㉒推古天皇 豐御食炊屋姬天皇 🈚・・・㉓舒明天皇 息長足日廣額天皇〜㉚持統天皇 高天原廣野姬天皇 巻末は系譜だけ記述する方針とすれば、史書とのなんらかの見解の相違があるなら、わかるが、下記に示す通り、いくら見てもそのような状況があるとは思えない。些細な点を捨象すれば、両者、ほぼ同じとしてもよいのではなかろうか。 どちらかといえば、これ以前の事績の話が豊富な代に於ける系譜の方が史書との違いを打ち出しているように感じられるから尚更その感が深まる。 それに、本朝仏聖筆頭の聖徳太子血族の名称・範囲ともども同レベル。と言うか、両書ともに全く記載していない。 --- 「古事記」⇒[日本書紀」--- 【[29欽明]天國押波流岐廣庭天皇+石比賣命(檜坰天皇[28]の御子)】 【天國排開廣庭天皇第二子 [母]石姫皇后〈武小廣國押盾天皇女〉】 ●[30敏達]沼名倉太玉敷命⇒渟中倉太珠敷天皇 └┬▲[33推古][庶妹]豐御食炊屋比賣命⇒豐御食炊屋姬天皇 ※↓ ┼├△靜貝王/貝鮹王⇒菟道貝鮹皇女 ┼├○竹田王/小貝王⇒竹田皇子 ┼├△小治田王⇒小墾田皇女 ┼├○葛城王 ┼├○宇毛理王⇒鸕鶿守皇女 ┼├○小張王⇒尾張皇子 ┼├△多米王⇒田眼皇女 ┼└△櫻井玄王⇒櫻井弓張皇女*↓ └┬△小熊子郎女(伊勢大鹿首の女)⇒釆女伊勢大鹿首小熊女 ┼├○布斗比賣命⇒太姫皇女 ┼└┐┼↓(寶王/糠代比賣王=田村王) ┼┼└─┐ └┬△比呂比賣命(息長眞手王の女)⇒広姫 ┼├○忍坂日子人太子/麻呂古王⇒押坂彦人大兄皇子/麻呂皇子 ┼││┼│ ┼│└┬△[庶妹]田村王/糠代比賣命⇒田村皇女/糠手姫皇女 ┼│┼├●[34舒明]名称非記載⇒息長足日廣額天皇 ┼│┼├○中津王 ┼│┼└○多良王 ┼│└┬△大俣王(漢王之妹) ┼│┼├○智奴王 ┼│┼└○妹桑田王 ┼│└┬△[庶妹]玄王*↑ ┼│┼├○山代王 ┼│┼└○笠縫王 ┼├○坂騰王⇒逆登皇女 ┼└△宇遲王⇒菟道磯津貝皇女 └┬△老女子郎女(春日中若子之女)⇒老女子夫人(薬君娘)/春日臣中君女 ┼├○難波王⇒難波皇子 ┼├△桑田王⇒桑田皇女 ┼├○春日王⇒春日皇子 ┼└○大俣王⇒大派皇子 【[29欽明]天國押波流岐廣庭天皇+岐多斯比賣(宗賀之稻目宿禰大臣之女)】 【天國排開廣庭天皇第四子 [母]堅塩媛】 ●[31用明]橘豊日命⇒橘豐日天皇 └┬△意富藝多志比賣(稻目宿禰大臣之女)⇒石寸名 ┼└○多米王⇒田目皇子 └┬△間人穴太部王(庶妹)⇒穴穂部間人皇女 ┼├○上宮之厩戸豐聰耳命…聖徳太子⇒上宮厩戸豐聰耳太子 ┼├○久米王⇒来目皇子 ┼├○植栗王⇒殖栗皇子 ┼└○茨田王茨田皇子 └┬△飯女之子(當麻之倉首比呂之女)⇒廣子 ┼├○當麻王⇒麻呂子皇子 ┼└△[妹]須加志呂古郎女⇒酢香手姫皇女 【[29欽明]天國押波流岐廣庭天皇+小兄比賣(岐多志比賣命の姨)】 【天國排開廣庭天皇第十二子 [母]小姉君〈稻目宿禰女〉】 ●[32崇峻]長谷部若雀命⇒泊瀬部天皇 └┬△⇒大伴小手子姬(大伴糠手の娘) ┼├○⇒蜂子皇子 ┼└△⇒錦代皇女 【[29欽明]天國押波流岐廣庭天皇+岐多斯比賣(宗賀之稻目宿禰大臣之女)】 【天國排開廣庭天皇中女】 ●[39推古]豐御食炊屋比賣命⇒豐御食炊屋姬天皇 ※↑ こうなると、宮地と御陵地が33代に渡って、どのような変遷を遂げているかを眺めることが、日本の歴史を考える上で極めて重要であるから心するように、と言うメッセージを発しているだけと考えるしかないようだ。 そういう意味では、それに従って、すでに簡単にまとめてある。・・・ ■■■ 古事記の歴史観 ■■■ [8] 桜井時代…(20181118) [7] 初瀬川時代…(20181117) [6] 摂津〜河内〜和泉時代…(20181116) [5] 筑紫本営時代…(20181115) [4] 山の辺の道時代(東国)…(20181114) [3] 山の辺の道時代(瀬戸海)…(20181113) [2] 山の辺の道時代(盆地内)…(20181112) [1] 葛城〜金剛〜巨勢時代…(20181111) ■■■ 古代の都 ■■■ [時代区分:6] 26〜32代総ざらい…(20181109) [時代区分:5] 20〜25代総ざらい…(20181108) [時代区分:4] 16〜19代総ざらい…(20181107) [時代区分:3] 13〜15代総ざらい…(20181106) [時代区分:2] 10〜12代総ざらい…(20181105) [時代区分:1] 1〜9代総ざらい…(20181104) [時代区分:0] プレ東征…(20181110) [04] 吉備国高嶋宮…(20181119) [03] 安芸国多祁理宮…(20181120) [02] 筑紫国岡田宮…(20181121) [01] 豊国宇沙足一騰宮…(20181122) [00-4] 高千穂宮(4:鉄の道)…(20181126) [00-3] 高千穂宮(3:常陸国)…(20181125) [00-2] 高千穂宮(2:日向国と薩摩国)…(20181124) [00-1] 高千穂宮(1:常世の国)…(20181123) (日子穗穗手見命) [004] 天之御舍…(20181205) (大国主命) [003] 宇都志國玉~の宮…(20181204) (大国主命) [002] 須賀の宮…(20181203) (建速須佐之男命) [001] 八尋殿…(20181202) (伊邪那岐命・伊邪那美命) [33] 小治田宮…(20181103) (推古天皇) [32] 倉橋柴垣宮…(20181102) (崇峻天皇) [31] 池邊宮…(20181101) (用明天皇) [30] 他田宮…(20181031) (敏達天皇) [29] 師木島大宮…(20181030) (欽明天皇) [28] 檜坰廬入野宮…(20181029) (宣化天皇) [27] 勾金箸宮…(20181028) (安閑天皇) [26] 伊波禮玉穂宮…(20181027) (継体天皇) [25] 長谷之列木宮…(20181026) (武烈天皇) [24] 石上廣高宮…(20181025) (仁賢天皇) [23] 近飛鳥宮…(20181024) (顕宗天皇) [22] 伊波禮甕栗宮 & 忍海高木角刺宮…(20181023) (清寧天皇) [21] 長谷朝倉宮…(20181022) (雄略天皇) [20] 石上穴穂宮…(20181021) (安康天皇) [19] 遠飛鳥宮…(20181020) (允恭天皇) [18] 多治比柴垣宮…(20181019) (反正天皇) [17] 伊波禮若櫻宮…(20181018) (履中天皇) [16] 難波之高津宮…(20181017) (仁徳天皇) [15] 軽嶋明宮…(20181016) (応神天皇) [14] 穴門之豊浦宮 & 筑紫訶志比宮…(20181015) (仲哀天皇) [13] 志賀高穴穂宮…(20181014) (成務天皇) [12] 纒向之日代宮…(20181013) (景行天皇) [11] 磯城之玉垣宮…(20181012) (垂仁天皇) [10] 師木水垣宮…(20181011) (崇神天皇) [9] 春日之伊邪河宮…(20181010) (開化天皇) [8] 軽之堺原宮…(20181009) (孝元天皇) [7] 黒田廬戸宮…(20181008) (孝霊天皇) [6] 葛城室之秋津嶋宮…(20181007) (孝安天皇) [5] 葛城掖上宮…(20181006) (孝昭天皇) [4] 軽之境岡宮…(20181005) (懿徳天皇) [3] 片塩浮穴宮…(20181004) (安寧天皇) [2] 葛城高岡宮…(20181003) (綏靖天皇) [1] 畝火 白檮原宮…(20181002) (神武天皇) [付録] 鉄道駅名…(20181002) (C) 2021 RandDManagement.com →HOME |